24条
24条1「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」2「配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」
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安倍改憲案のうち9条3項自衛隊、緊急事態条項に比べると24条は現憲法理念の基本的人権・国民主権・平和主義、特に平和主義と無関係に見える。しかし改憲を目論む人々にとっては目障りな条文であるらしい。
この24条は、13条「すべて国民は、個人として尊重される」、14条「すべて国民は、法の下に平等である」と相まって、明治憲法・民法下の家族制度、特に女性や弱者を抑圧してきた家族制度を根本的に改めたが、その家族制度こそが戦前の軍国主義、植民地主義に染まった日本帝国の基礎をなすものであったといえるのではないだろうか。
いつの時代も、いずれの国家も、軍は男性中心主義、それも「強い」男性中心主義である。そして軍国主義はその拡大として、公的に推奨される家族、いわば強い家長とそれに従う女性・子どもといった家族に基づいた社会秩序を求める。「個」などといったものを尊重していては国がコントロールしやすい国民にはならない。それゆえ軍国主義は家族に介入し、その家族の「個」すなわち個人の尊厳などをないがしろにする。
それに対し、個人の尊厳と男女双方の本質的平等を規定する24条は、前述の軍国主義的家族やそれにもとづく社会秩序を真っ向から否定する。それゆえにこの条文は憲法の平和主義をいわば内側から支えるものといえるのではないだろうか。
現憲法を守るということは、短絡的な安全保障論などによる9条改憲の狙いを見定めるにとどまらず、現憲法の前文、各条項の持つ理念を守るということであろう。
(政策部会・飯田 哲夫)