府と京都市に署名第1次分提出
協会などでつくる「子ども医療費無料制度を国と自治体に求める京都ネットワーク」(以下、ネット)は2月20日、子ども医療費の制度拡充を求める要請署名第1次集約分を京都府と京都市それぞれに提出し、要請を行った。要請は、子どもの貧困が深刻化するなか、通院月3000円の負担がかかる京都府・京都市の制度を拡充し、お金の心配なく医療にかかれるよう求めるもの。特に低年齢層の子どもに3000円もの高い負担を課さないよう求めた。
京都府は医療保険政策課の野間久仁子副課長らが対応。ネットからは子連れの母親など21人が参加し、署名2861筆を提出した。
京都市は子ども家庭支援課の村井清則課長らが対応。ネットからは6人が参加し、署名2704筆を提出した。
要請に参加した母親たちは、「複数の子が慢性疾患を持っていると医療費だけで大変」「3歳になって負担が上がると様子見をしてしまう」「無料にすると安易な受診が増えるといわれるが、子どもを必要以上に受診させる親はいない」「(ネットの調査結果にあるように)未受診や治療中断の実態があることを深刻に受け止めて調査してほしい」「お金がなくて病院に連れていけないなんて同じ親として辛すぎる」など口々に訴えた。
「一石」で京都新聞がネット調査を特集
京都新聞は1月21日、「一石 ISSEKI」という特集でネットが11月に公表した実態調査結果を詳しく報道した。「京都市の子ども医療費 親5割『負担感じる』」として、「軽減求める声強く」「未就学児だけでも」といった要求の強さを伝えている。
議会請願―府は不採択、市は継続審議
ネットは要請署名と同内容の請願を12月の京都府議会、京都市会に提出。
府議会では府民生活・厚生常任委員会に付託され、12月14日に請願審査が行われた。紹介議員の一人として島田敬子議員(共産)が趣旨説明したうえで、ネットが公表した受診抑制の実態を示し、府は「トップクラス」にふさわしい制度に向けて努力すべきと訴えた。これに対し、磯野勝議員(自民)は、財政の面から一律に無料とすべきではない、貧困対策は教育、保育など総合的に考えるべきと反対を表明。田中健志議員(民進)も、財政が厳しいため賛同しかねるとした。結果は不採択となった。
京都市会では教育福祉委員会に付託され、12月20日に西村善美議員(共産)が紹介議員として趣旨説明し、請願の実現を求めた。当局からは、市長公約もあるので限られた財源を使って現実的、効果的に検討していくこと、国に対しても全国一律の制度実現と減額調整の撤廃を求め続けているとした。この日は他会派からの発言はなく、採決は全会一致で「留保」となり、その後も継続して審議が行われている。1月24日の同委員会では山本恵一議員(自民)が、前記の京都新聞記事について当局に認識を質したうえで、現実的かつ計画的な制度拡充をはかっていくべきとした2012年の市会決議を受けての進捗状況についても質問。当局からは記事の内容は認識しているとし、市会決議を受けて充実への取り組みは進めていきたいと答弁。山本陽子議員(共産)は、同決議が「受診機会の多い低年齢層」に拡充を求めていることを指摘し、早急なる実現を求めた。
府に検討会議設置へ
京都府は次年度予算案で、「あんしん医療制度検討費」として制度検討のための有識者会議設置費用100万円を計上した。
中学生まで通院の3000円負担をなくすには、府が27億円、市が10億円以上の財政負担が生ずるとしており、2月22日の市会では村上副市長がそこまでの拡大は「現実的ではない」と答弁。どのようなかたちで拡充をはかるかは不透明だが、会議設置で一歩踏み出すことになる。