1月24日 下京西部医師会事務所
遠隔診療「便利」意識に危惧
協会は、1月24日に下京西部医師会事務所にて、下京西部医師会との懇談会を開催した。地区から5人、協会から7人が出席。下京西部医師会、大石豊理事の司会で進めた。
冒頭、安田雄司会長は「診療報酬・介護報酬同時改定、そして医師の働き方改革が大きな問題となる。私自身は勤務医時代にタイムカードを押すということは一度もなく、夜中の呼び出しに対応することは当たり前と考えていた。しかし、2年間ドイツにいたときには5時で追い出されるというふうに、国による違いもあるようだ。一方で開業医は連携をして24時間365日働くよう言われていることもあるなど、いろいろと問題があるように思われるので議論をしたい。また、遠隔診療についてはテレビで都合の良い取り上げがなされ、独り歩きしているような印象があるので、議論したい」とあいさつした。協会からは、垣田理事長のあいさつの後、各部会からの情報提供に続き、今年度の共通テーマである①医療提供体制・保険制度改革の現状と各地区の医療課題について、②診療報酬・介護報酬同時改定、加えて「医師の働き方改革」について話題提供し、意見交換を行った。
意見交換では地区より、遠隔診療に関して、「今朝テレビで遠隔診療の特集があり、総じて非常に便利だという受け止めがなされていた。私は、患者さんを見て触って聴いて叩いて臭いも注意してという診察が医療の原点だと思っている。それが根底から覆っていく思いだ。私自身の開業のきっかけは阪神・淡路大震災だった。聴診器と心電図と血圧計しかない中で、対面診療技術をフルに使って診療にあたっていた。そういう姿勢が薄れていくことはおかしいと思う」との意見が出された。協会からは「オンライン診療が対面診療と同等のエビデンスがあるかどうかについては大いに疑問だ。そもそもは、経済財政諮問会議や規制改革会議等で取り上げられてきたように政府の成長戦略に位置づけられて強力に後押しを受けて出てきたもの。更に、現時点では電話再診料と処方せん料しか保険診療として算定できる点数がないので、オンライン診療としての評価の引き上げを求める動きもあり、そちらに誘導するような流れになっている。それを受けて、協会は保団連を含めて拙速な推進には反対をしてきた。保険医として止めるべきところは止めていかねばならない。おかしなところがあれば意見を上げていきたい」と回答した。
次に、医師の働き方改革について、地区から「アメリカではACバイパスのグラフト挿入のための静脈を看護師がとってくるということや挿管までやっていると聞く。そういうことを目指しているのか。また、働き方改革の範疇に入らないフリーランスを活用しようとする考えがありうるだろうか」との質問が出された。協会からは「とにかく医師の仕事を減らせということなので、そういうことかと思う。ICUの認定看護師が観血的処置を行っているという流れもある。ただし、開業医は事業主なので24時間365日働けることになっており、それはどうしてくれるだろうか。医師の働き方は医療提供体制と密接に関係しているので、本当に大事な問題だと感じている。しっかりと議論をしていきたい」と回答した。