介護報酬改定で国に意見 入院医療改革と地域包括ケア構築 一体的推進改定に憂慮  PDF

協会は、2月23日に介護報酬改定に伴う関係告示一部改正に関する意見を提出した。以下、全文を掲載する。

平成30年度介護報酬改定に伴う関係
告示の一部改正等に関する意見

〈改定全体に対する意見〉
今次改定は診療報酬・介護報酬の同時改定であり、1月26日の社会保障審議会・介護給付費分科会の了承を得た介護報酬改定に伴う関係告示内容は、国のすすめる医療・介護サービス提供体制改革における入院医療改革と地域包括ケア構築の一体的推進という、政策目的達成を主眼に置いた改定であることが鮮明であると考える。
大きく四つの特徴を取り出すことができる。
一つ目は、地域における高齢化の進展に加え、入院医療改革の結果新たに生じることとなる在宅ニーズに対応するため、医療・介護連携を強め、とりわけ在宅・施設での看取りを高く評価するものであること。
二つ目は、維持期リハビリテーション、あるいは介護医療院新設に象徴される医療保険から介護保険への給付付替えの推進を図るものであること。
三つ目は、介護保険における医療系サービスの拡大を見越し、生活援助サービスの評価を引き下げ、提供する専門職の在り方さえ大きく変え、さらに要支援判定された被保険者に対するサービス提供の評価を引き下げるものであること。
四つ目は、地域包括ケア思想の普遍化としての地域共生社会論を背景に、実態は将来の障害者福祉制度と介護保険制度の統合を視野においたと思しき共生型サービスを創設するものであること。
一方、介護従事者、事業者をめぐる状況は深刻さを増している。昨年度、介護人材の処遇改善がはかられたとはいえ、平成29年度介護事業経営実態調査結果によると介護サービス事業者は施設系・居宅系を問わず、平均収支差率は悪化しており、0・54%の僅かなプラス改定も焼け石に水との悲鳴が、私たちのもとにも届いている。介護報酬は事業所経営と介護従事者処遇に直結する。医療・介護サービスは人間による人間を対象としたサービスであり、その担い手の生活が保障されることなしには成立しえないのは言うまでもない。介護報酬の決定過程において、あらためてその観点を重視していただくことを強く望む。
また、私たち保険医は、いつでも・どこでも・誰でもが保険証1枚で必要な医療を必要なだけ保障される国民皆保険制度の下で、療養の給付としての医療を患者さんに提供している。介護保険における給付は現金給付であり、なおかつ、要介護認定による制限がある。医療は必要充足に保障されねば生命にかかわる。介護保険で提供される医療系サービスは原則、医療保険に戻すべきと考えている。
以上のことを踏まえた上で、下記、告示について具体的に要望したい。
〈個別改定項目に対する意見〉
1.居宅療養管理指導における単一建物居住者数による単位数減額の廃止を求める。
2.医療系介護報酬は、区分支給限度額から除外するよう求める。
3.訪問看護について、要支援者への報酬引き下げを行わないよう求める。
4.訪問リハビリテーションの基本報酬引き下げを行わないよう求める。
5.通所リハビリテーションの長時間区分の基本報酬引き下げを行わないよう求める。
6.訪問介護における生活援助中心型サービスの単位数引き下げや、居宅介護支援について、訪問介護の回数が多いケアプランの提出を義務付けること等、生活援助を軽視し、抑制させるあらゆる改定の中止を求める。
7.介護療養型医療施設について、一定の要件を満たす利用者割合を下回る場合の減算の中止を求める。

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