以下、協会の意見とそれに対する府のコメントをいくつか紹介する。
協会:納付金および標準保険料率の算定方法について、「統一保険料」へは移行せず、α=1とされたことを評価したい。自治体によって保険料負担に差異がある現状は、いずれ解決すべき矛盾と考えるが、医療費水準に大きな差異があるまま、これを反映せず統一保険料にすれば、保険料負担が急騰する市町村が発生する。医師不足・診療科不足により給付が保障されないという問題の解決なしに、統一保険料への移行は将来を含め不可能。国の制度の在り方として、医療費と負担のリンクを断ち切ることと、被保険者の負担の完全応能化を求める。
府の考え方:保険料率の統一につきましては、新しい制度による運営状況を分析・検討しながら中長期的な課題として市町村と検討していきます。引き続き、国には財政支援をはじめ国保の構造問題に対する解決を求めていきます。
協会:法定外一般会計繰入について、府は市町村の判断によると答弁されてきた。構造問題に対する福祉的措置として実施してきた市町村の姿勢を否定せず、真の構造問題解決を国に求めていただきたい。また、当面の措置として、府による法定外一般会計繰入も検討願いたい。
府の考え方:引き続き、財政的な支援を含め国には国保の構造問題に対する解決を求めていきます。府は、2017年度当初予算でも約260億円もの予算を確保して、国保制度を支えているところです。また、2018年度から国保の財政運営の責任主体として、市町村単位から都道府県単位に拡大される財政運営の中で、すべての市町村に関係する制度の基本部分を担うものであり、引き続き、必要な予算を確保し、制度の安定化に努めていきます。また、市町村においては、地域の実情に応じて個別の財政措置等について、検討されるものと考えています。
以上の抜粋からわかるように、京都府は、近隣自治体が表明した統一保険料率に対しては「中長期的」な課題と位置付けているように慎重姿勢であり、あくまで府内各市町村の所得と医療費状況を反映した納付金算定を志向してきた。市町村によって医療資源格差が厳然と存在する現状において統一保険料率に踏み切れば、医師や医療機関にはかかれないのに保険料だけが急激に増加する市町村の出現は免れない。府はもちろん、国でさえ制度移行に際して被保険者の負担が激変することを望んでいない。
そこで注目されてきたのが財政を都道府県単位に変えることで、被保険者の負担、保険料負担はどう変化するのか、という問題である。
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