国保都道府県化が構造問題を解決するのか  PDF

 国保は「年齢構成が高く、医療費水準が高い」「所得水準が低く、保険料負担が重い」、さらに、財政規模の小さな市町村では、「一度高額な医療費が発生すると、一気に保険財政が不安定化し、保険料にはねかえってしまう」など、いわゆる構造問題を抱えてきた。構造問題の解決のため、一定金額以上の医療費支出を都道府県内の市町村が拠出し、プールした財源で賄う「保険財政共同安定化事業」導入(2012年国会成立)に代表される広域化によるリスク分散の試みがなされてきたのだが、この度ついに制度自体を都道府県単位に移行させるに至った、ということになる。
 だが、今回の都道府県化が構造問題解決につながるのか。そもそも今改革が構造問題解決のためにのみ行われるのか。本紙では、今回の国保都道府県化は、同様に18年4月から第3期に突入する医療費適正化計画における医療費の「支出目標」を中心に、一方で地域医療構想等による医療提供体制管理、一方で国保の保険財政を一体的に都道府県に握らせることで、医療費抑制を図る狙いによるものと指摘してきた。
 京都府は今回の答申を前に中間案を公表し、府民意見募集(パブリックコメント)を実施した。協会もこれに応える形で10月27日に「中間案への意見」(12月25日付・メディペーパー「医療制度改革関連情報」に全文掲載)を提出した。
 11月29日の協議会では、京都府から中間案に対し寄せられたパブリックコメントを紹介、対する府の考え方が説明された。説明によると10月6日から27日の間に寄せられた意見は、6個人・1団体。協会は意見を提出していることから、協会以外の団体はいずれも意見を提出しなかったようである。

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