社会保険労務士 桂 好志郎
確認しましょう! 最低賃金
パート、アルバイトにも適用されます
◇2017年10月1日から時間額856円
2017年9月1日、京都府労働局長は、京都府最低賃金審議会の答申を受けて、京都府最低賃金を現行の時間額831円から25円引き上げることを決定しました。
引き上げられた京都府最低賃金は17年10月1日に発効されました。
◇適用される対象者は?
地域別最低賃金はすべての労働者の賃金の最低額を保障するセーフティネットとして、常用・臨時・パート・アルバイト・嘱託などの雇用形態や呼称にかかわらず、原則としてすべての労働者とその使用者に適用されます。
最低賃金額は都道府県ごとに違います。東京都は958円、大阪府は909円、奈良県は786円に改定されています。
◇最低賃金制度とは? 職員、使用者双方の合意の上で定めても無効とされる
働くすべての人に対し、賃金の最低額を保障する制度です。仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは最低賃金法によって無効とされ、最低賃金額と同様の定めをしたものとみなされます。また、使用者が労働者に対して最低賃金額未満の賃金を支払った場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、罰則(50万円以下の罰金)が定められています。
チェック方法は?
(1)時間給の場合
時間給≧最低賃金額(時間額)
(2)日給の場合
日給÷1日平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
(3)月給の場合
月給÷1カ月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)
最低賃金額との比較にあたって、次の賃金は算入しません。
①臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
②1カ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
③所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
④所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
⑤午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える分(深夜割増賃金など)
⑥精皆勤手当、通勤手当および家族手当
事例1
基本給(月給) 125,000円
職務手当 25,000円
通勤手当 8,000円
合計 158,000円
所定労働時間/日 7時間30分
年間所定労働日数 250日
①支払われた賃金のうち、通勤手当は算入しないので、
158,000円-8,000円=150,000円
②この金額を時間額に換算し、最低賃金額と比較すると、
150,000円÷1カ月平均所定労働時間(250日×7.5時間/12カ月)=960円>856円
であり、最低賃金額以上となっています。
事例2
基本給(月給) 110,000円
精皆勤手当 8,000円
家族手当 10,000円
職務手当 40,000円
合計 168,000円
※試用期間中は職務手当を支給しない
所定労働時間/日 8時間00分
年間所定労働日数 255日
試用期間中は、次の算式で判定します。
(月給×12カ月)/年間所定労働時間≧
最低賃金(時間額)
(110,000円×12カ月)/(255日×8時間)≒647円<856円
であり、最低賃金額以下となっています。