◇労働の提供がなかった時間分だけ賃金を引くことは問題ありません
遅刻や早退、欠勤などがあった場合に、労働の提供のなかった時間や日に限って賃金を差し引くこと、労働者が自らの都合で労働しなかったその部分に対しては、賃金債権は発生しないので問題はありません。ノーワーク・ノーペイの原則にかなったものであり、この時間や日についても賃金を支払うという特約でもない限り問題ありません。
但し、遅刻5分でも10分でも切り上げて30分とみなして減額する場合は、労働の提供のなかった時間を超えるカットですので、賃金の全額払いに反し、違法となります。
◇減給の制裁として行う場合は
労基法は、減給の制裁について「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合は、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えて、総額が一賃金支払期間における賃金の総額の十分の一を超えてはならない」と規定しています。
就業規則中に制裁に関する事項を定める場合には、その制裁の種類、程度は法令、公序良俗、労働協約に反しない限り使用者が任意に定めることができますが、賃金の減額の制裁は、多額であると労働者の生活をおびやかすおそれがあるので、労基法では、一定の制限を加えています。
◇遅刻3回で1日分の賃金カットするのは、場合によって違法となるケースがあります
遅刻3回に見合った賃金カット分の合計が本人の賃金日額の半分に満たない場合は、これに減給の制裁分としての平均賃金の1日分の半額を加えても、結果的には1日分の賃金カットとはなりませんから、1日分を差し引くことは法違反になります。
◇問題のある主任を格下げしようと思っているが、給与の低下は問題ないか
看護師部門、受付部門等職員の人数がふえたときは、組織として機能させるために、主任等の職制を設けることは必要なことです。問題はその主任に問題が発生したときですが、制裁として主任を降格させることがあります。当然給与につけていた主任手当もはずすことになります。このときの給与低下は主任降格による当然の結果ですから、減給の制裁ではありません。
ただし、降格については就業規則などで定めておく必要がありますので、ご留意下さい。
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