安保法(戦争法)反対の共同は、その特徴から、安倍政治に代わる選択肢=担い手となる力を持ったと言える。この選択肢への期待はどう現れたか。東北5県を見てみよう。共同は、自公比例合計得票率と野党合計得票率の差をひっくり返している。山形合計得票率の差は18・25ポイント、青森14・39ポイントである。この大逆転には、二つの要因が見て取れる。一つは、野党統一候補への選択肢としての期待である。青森では、無党派層の65%、自民支持の15%、公明支持の25%、おおさか維新支持の62%が、山形では、無党派の79%、自民支持の29%、公明支持の38%、維新の67%が野党統一候補に投票している。
これらの支持層を投票に結びつけるには、戦争法反対の地域での共闘が力になっている。東北6県市町村長九条の会が統一候補に精力的な調整を行っていたし、市民連合など市民と野党の共闘組織が組織されている。
では、この戦争法反対・廃止の共同は、なぜ16年参院選で安倍政治を倒すことができなかったか? それは、「連合」や民進党の一部が言うような「共同のせい」ではなく、「共同の弱さのせい」である。「受け皿」組織は作れたが、その受け皿は複数区を抱える大都市圏ではできず、欠けていた。
そしてもう一つの要因として、「受け皿」に盛る料理が、戦争法(安保法)反対・廃止という「平和」の料理だけであり、国民にとっては不十分で、貧弱であったということだ。「平和」だけではなく、「暮らし」との二つの柱で押し出さなければならなかったが、ここの部分で安倍政治に代わる選択肢を示すまでには至っていない。
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