総会アンケート  PDF

全加盟医師団体提言をどう考えるか
日医への期待の一方で規制的手法には否定的

 日本医師会の「医師の団体の在り方検討委員会」(委員長=本庶佑・京都大名誉教授)は4つの提言を取りまとめ、4月12日に公表した。
 提言は、▽自主的・自律的に「何らかの適切な仕組み」を作り、医師偏在の解消を実現していくことが必要▽「何らかの適切な仕組み」を作り、運営していくため、行政から独立した医師全員が加盟する団体が必要▽医師の地域偏在解消に当たっては、地域の医療事情に応じた対応が求められる。国民や若い医師らとも討議し、都道府県を単位とする仕組みの構築を推進することが重要▽日医は診療科偏在解消に向け、日本専門医機構が適切な専門医制度を運営するよう、さらに関与を強めていくことが必要―の4つ。
 つまり、国による医師偏在解消を名目とした強制配置を避けるには、職業選択の自由の下、医師が自由に診療科や診療場所を選べることは尊重されるべきであるとしながらも、自らが事実上の「適正配置」に乗り出す必要があり、そのための全員加盟の医師団体をつくるべき、ということ。一つのイメージとして、法律に基づいて全員加盟の形になっている日本弁護士連合会をあげている。
 また日医は、「日医かかりつけ医機能研修制度」を昨年4月から実施しており、かかりつけ医機能を充実・強化することに主眼を置いた研修制度として創設したとしている。次期の診療報酬改定でも、かかりつけ医機能を診療報酬上でどう評価するかが課題となるであろうが、将来的にこの研修制度が診療報酬による評価に結び付いた場合は、日医に加盟していなければ関連点数を算定できなくなるということも考えられる。
 このような一連の日医の動きについて、7月30日に開催した保険医協会の定期総会出席者にアンケートを行った。回答数は88人(回答率87%)。
 今回の日医提言の認知度については、「知らない」が59%で、「知ってる」41%を上回った(図1)。
 日医のいう全員加盟の医師団体について、「どちらかというと評価」が39%と最も高く、「評価」の8%と合わせると47%となった。一方で「評価しない」の22%と「どちらかというと評価しない」13%を合わせると35%となり、「評価」が上回った(図2)。
 日医かかりつけ医機能研修制度を診療報酬とリンクさせるべきと思うかの質問に対しては、「思わない」が59%、「思う」が11%、「どちらともいえない」が18%(図3)。
 将来的に全員加盟の医師団体に加入していないと保険診療できなくなるとしたらどう思うかについては、「反対」が59%、「賛成」が9%、「どちらともいえない」が23%であった(図4)。
 全員加盟の医師団体については半数近くが「評価」したが、日医かかりつけ医機能研修制度と診療報酬のリンクや団体加入と保険診療とのリンクについて6割が否定的で、肯定的なのは1割にとどまるという相反する結果となった。ここから読み取れるのは、診療報酬などの交渉力において強い団体であってほしいとの思いがある一方で、日医といえども規制をかけられることを嫌う表れとみることができるのではないか。

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