「子ども医療費無料制度を国と自治体に求める京都ネットワーク(略称:子ども医療京都ネット)」が8月31日、代表者会議を開き13年ぶりに活動を再開した。子どもの貧困が深刻化するなか、国による自治体助成へのペナルティが就学前までの助成に限って2018年度から廃止されるが、依然改善されない制度改善を促すことを目的とする。乳幼児医療京都ネット(旧称)の運動があり、府制度は03年に就学前まで対象を広げ、当初3歳以上通院は月8000円超額の償還払いだったが、07年に3000円に引き下げられた。15年に対象が中学生に広げられたが、3000円の負担は残ったままだ。特に就学前の子どもは大事な時期であるので、京都市と京都府には強く求めていくこととした。
開会にあたり、垣田さち子代表(保険医協会理事長)は、京都は出生率が東京に次いで低いことをあげ、次世代を皆で育てる温かいまちにするよう市民全体の問題として取り組んでいきたいとあいさつした。
貧困と受診抑制の実態について、尾崎望医師(かどの三条子ども診療所所長)と池添素氏(NPO法人福祉広場)が報告。
尾崎氏は、自身の診療圏の生活状況はそれほど厳しい地域ではないが、3歳以降の子どもたちの受難は稀でないと実例をあげた。一つは喘息の重い発作で総合病院受診を促すも、窓口負担がさらにかかることから「ここで治療を」と希望する例。一つはインフルエンザ予防接種を兄弟に希望するも、2歳の子なら治療負担は200円ですむことから「上の子だけ」とする例、など。格差と貧困の拡大の下で、地域において子どもたちの健康を支えるためにも医療費無料化は喫緊の課題だとした。
池添氏は、障害のある子の実情について報告。療育と医療的ケアの必要な子たちは医療費以外でもリハビリや補装具などたくさんお金がかかるので、せめて医療費は無料に、が願いだと訴えた。
京都市内の実態の聞き取りでは、貧困世帯の多い地域の保育の現場から、▽虫歯が10本以上ある口腔崩壊の子の親は「(歯科が無料になる)小学生まで待ってる」▽月をまたぎそうなときは200円を2回払うことになるので、すぐに受診せず「ぎりぎりまで待つ」▽公費となっていない予防接種は受けていない子の方が多い―など切実な実態も浮き彫りになった。意見交換の中で、小児慢性特定疾病医療支援事業や子どもの在宅医療などの不十分さも指摘された。
今後の行動については、①受診抑制実態アンケートを実施②京都府・京都市に向けた要請署名の取り組み③署名スタート集会を開催(①の結果を公表、日程調整中)―を提起した。
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