今、私たちが暮らす社会は健康であることが前提の社会になってしまっている。今の生活が崩れた時、国はというと、「まずは自分たちで何とかしろ、地域で支えあえ。どうしようもなくなったら国が最低限の保障をする。国を当てにするな」。私たちは今、この間違った社会保障の理念のもとで、本当にいつ崩れてもおかしくない、不安定な社会に生きているのだ▼2012年社会保障制度改革推進法で「自助・共助・公助」を法律に書きこまれ、14年医療介護総合確保法では「互助」を復活させ、「自助・互助」を地域包括ケアの受け皿にした。今年の4月に成立した「地域包括ケアシステムの強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」ではさらにこの考えを強化した。このことを国が明言したのが「地域共生社会」「我が事・丸ごと」の論理である▼地域共生社会。言葉の響きは良いが、その中に「公的な支援」という言葉はあっても、「社会保障」という言葉はない。支援の基本には、自助、互助の考えがあり、やはり「助けてあげる」であって、保障ではない。この地域共生社会の考えで、今後さらなる医療、介護、福祉の制度改革が進められていく▼私たちはこの間違った社会保障の理念を覆し、本来あるべき社会保障の姿に戻し、さらなる充実を図らなければならない。(治)
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