医界寸評  PDF

 夏休み、トランプ米大統領の支持率が低下し続けても賑やかさは相変わらずだ。人種差別による職権乱用罪で有罪となった元保安官を恩赦。多方面から法と倫理の問題など根源的な批判が繰り返されている▼シャーロッツビルでの白人至上主義者集会で、これに反対する市民に極右の男性が運転する車が突っ込み、多くの死傷者が出た。この際の「どっちも悪い」発言が厳しく批判され、KKKやネオナチに対し、いったんは非難の言を呈したが、「無理やり発言を修正させられた、善良な人達もいたのに」と、人種差別反対の立場を曖昧にした▼トランプのお陰で「人種差別」問題は、一挙にアメリカ合衆国の政治課題として再浮上し、大統領の支持母体である保守層共和党内での分断、大統領を補佐するはずの経済界代表達の諮問委員辞職、果ては、全米統合参謀本部幹部層が最高司令官(大統領)批判を行うまでに▼事件の発端となったリー将軍の銅像は、アメリカ合衆国成立に至る南北戦争の歴史的遺物ではあるが、「奴隷制」を擁護し内戦で50万人もの犠牲を払ってようやく国民国家を形成していく過程でのアメリカの負の遺産だと、撤去する方針が決まっていた▼戦没者の追悼演説で「人民の人民による人民のための政治」を唱えたリンカーンはアメリカ合衆国最初の共和党所属の大統領でもある。(さ)

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