TPP反対京都ネットは6月28日、坂口正明氏(前全国食健連事務局長)を講師に「TPPプラスの動きと私たちの課題―メガFTA交渉と国内対策で見えてきたこと」学習会を開催。
坂口氏は、TPPは終わっておらず、TPPプラスの段階だと警鐘を鳴らし、昨年12月に日本政府が強行したTPP批准について、米国の離脱で発効できないから「無駄なこと」ではなく、TPP水準が国際公約になったとして「危険なこと」であると評した。
米国離脱により12カ国TPPの発効ができなくなった後の情勢について、①「日米経済対話」という名の二国間協議②安倍内閣のすすめる「TPP11」③12カ国破綻をうけて急遽動き出した日欧EPA(経済連携協定)④RCEP(東アジア地域包括的経済連携)のTPP化―が進んでいるとした。
①の日米二国間交渉については、TPPで満足していない米国はTPP以上を求めることは明らかで、麻生副総理とペンス副大統領を首席に、秋口には本格交渉ともいわれている。②の11カ国による交渉については、枠組みについての各国の多様な意向があるが、7月に箱根で首席交渉官会合を開き、11月にベトナム開催のAPEC首脳会議での「合意」がめざされている。③の日欧EPAについては、情報開示の進まないままに「大枠合意」(7月6日に政府が発表)へ前のめり。交渉分野はほぼTPPと同じで、しかも危険な中身が含まれる。④のRCEPは、多様な発展段階の国々を含む交渉なので、「多様性への配慮」が原則に謳われていたが、TPP破綻後にTPP水準が持ち込まれている。
TPPそのものの発効は無理なのに、国内対策は進んでおり、農業・農村市場が「企業の儲け」のために動員される。先の国会では、主要農作物種子法の廃止、農業競争力強化支援法が成立。特に種子法の廃止で、国民の基本食糧の種子を多国籍企業に支配される強い懸念があり、食糧主権は“風前の灯”だとした。
今起きていることは、安倍政権の下で、食も農も医療も、企業の儲けのため、ビジネスのために再編しようとしていること。国際的には、貿易の自由化、経済のグローバル化が進む中で起きていることであり、ここに対抗できる共同の運動を訴えた。
学習会後にネットとして今後も運動を継続していくことを確認し、「TPPなどの不公正な自由貿易協定に反対する京都ネットワーク」(略称はTPP反対京都ネットで変わらず)に改称することとした。
日欧EPAを批判
ネットは7月7日に四条烏丸で宣伝行動を行った。前日に「大枠合意」が発表された日欧EPAは国民に情報が開示されていないなどと批判し、道行く人々に訴えた。