協会は4月19日、協会事業に協力いただいている4人の税理士と懇談し、①16年分確定申告の状況②16年度税務調査の動向③最近の雇用問題にかかるトラブル事例④マイナンバー―を中心に意見交換した。また、協会の共済制度への理解および会員からの相談時における体制や各種講習会等の事業について一層の協力をお願いした。税理士からの主な報告は、以下の通り。
二極化する医院経営
16年分確定申告を振り返ると、収入・所得増の医療機関はごくわずかで、収入・所得減になった医療機関が多かった。診療科目の違いや院長の高齢化も要因になっている。ふるさと納税の利用者が大幅に増加した。医療機関は、他業種と比較し、ふるさと納税件数と金額が明らかに多い。制度趣旨を完全に逸脱しているケースも見受けられた。
税務調査は減少傾向
税務調査は年に数回程で、医療機関だけでなく他業種でも少ない。調査官の多忙や調査手続きの煩雑さによるものと思われる。
節税よりも雇用の相談
従業員確保や雇用トラブルで問題を抱えている医療機関は多い。人材不足による求職者優位の転職市場と賃金上昇といった社会情勢が医療機関の雇用管理にも影響している。退職の意思伝達もなく連絡不能になる等働く側の意識の変化や家計の補填ではなく生活のために働くパート従業員の厳しい経済状況も見受けられる。最低賃金や他業種賃金を意識した求人時給の設定や雇用条件の整備が必要になる。従業員に長く働いてもらうためには、院内の人間関係が良好であることも重要となる。
マイナンバーの取扱いに苦慮
16年分以降の確定申告書類の提出時に、本人等のマイナンバー記載が必要になった。医療機関、税理士ともにメリットはなく、安全管理の負担や情報漏えいのリスクが増大した。通知カードをクリアファイルに入れて気軽に持って来る方もいた。税務署によって、マイナンバー無記載書類の受取り対応が異なり、厳しく指摘する税務署とそうでない税務署があった。住民税の特別徴収税額通知書にマイナンバーが記載される問題について、実務作業時に事業主から税理士が通知書を預かる際は、手渡しから書留送付に変更し、情報漏えいの防止に努めることを確認した。