専門医会長との懇談会  PDF

薬剤・材料に費やされる医療費
医師の技術料の適正評価こそ必要

協会は専門医会長との懇談会を3月18日に開催。専門医会から12人、協会から10人が出席した。理事および保険審査通信検討委員の改選、2016年度審査に関するアンケート調査結果、18年度改定に対する保団連要求について担当理事が説明。各専門医会からは次回改定への要求、各科の昨年改定の不合理部分、協会活動への要望などについて意見を聞いた。

内科:高薬価薬剤問題については保団連が一石を投じたが、そもそもの薬価決定過程が中医協で明らかにされるべきではなかったか。関連して、年1回の薬価改定は医療機関側の負担等から反対である。現在の医療費に占める医師の技術料相当部分は5分の1程度しかないと思われる。医療費の伸びの要因も、大半は薬剤・材料代の伸びであり、医療機関の収入増にはつながっていない。
小児科:小児科は改定の主要テーマとの接点があまりないが、保団連の小児科外来診療料の点数引き上げと小児かかりつけ診療料の廃止要求には賛成である。
胸部:高薬価薬剤問題は保険医療の崩壊につながりかねず、今後も積極的に取り組んでいただきたい。呼吸器領域では、在宅酸素を必要とする呼吸器障害に2級がなかったり、前回新設された喘息治療管理料2は年齢制限があり、十分に活用できない現状がある。審査アンケートでは、病名漏れを返戻すべしという主張は特に賛成である。
外科:処置料の点数が低すぎることから、外来管理加算より低い処置料がいまだに存在している。是非改善していただきたい。
産婦人科:分娩の取扱いをやめた診療所が経営問題に直面している。月経困難症、子宮内膜症、不妊症、骨粗鬆症等の疾患に対して、どれだけ時間をかけて話をしても再診料+外来管理加算の点数しかなく、何も指導料がない。せめて特定疾患療養管理料の対象疾患としていただきたい。
眼科:最近は眼科関連の薬剤も高額化していて適用疾患も広がっており、それが技術料部分を圧迫しないか心配している。白内障の手術時間が短くなってきたことについて、技術的に簡単になってきていると誤解されている。実際には必要な設備投資が伴っての進歩であり、その点の理解を求めたい。
耳鼻咽喉科:診療所の経営改善に資する改定を要望する。具体的には①初再診料の増点②中等度難聴指導管理料の新設③耳鼻・咽頭・喉頭処置に対する乳幼児加算の新設―の3点である。
泌尿器:会員に対して、保険診療への理解を促すための機会をことあるごとに設けている。審査アンケート結果からはその成果が出ているようにも思う。今後具体的な要望を行っていくにしても、そういう基本的な理解をふまえた上で内容を検討していきたい。
精神:向精神薬の多剤投与に伴う通院・在宅精神療法の減算取扱いについて、精神科の基幹点数を減算するという考え方に対する異論は根強い。また、通院・在宅精神療法の週1回の算定制限の撤廃を求めたい。自殺願望を抑制するという切迫した状況では、週に複数回受診が必要となることはよくある。
消化器:毎年の薬価改定の是非について色々な意見があるが、一方で高薬価薬剤への対応はやはり必要。コンピューター審査の強化については、審査委員会における医師の裁量が狭められることを危惧している。診療内容向上会については、企画内容について協会からの積極的な提案があってもよいのではないか。
整形:他院撮影の診断料について、エックス線と同じくCT・MRIについても再診時の算定を認めてほしい。湿布薬の70枚制限は、薬剤料のみならず調剤料、処方料、処方せん料まで算定できない取扱いであり、今後そういった制限が広がる危惧があることから、強く廃止を要望すべきと考える。
形成:処置で皮膚欠損用創傷被覆材を使用することがあるが、患家で交換する分を算定する方法がない。是非別途算定できるようにしてほしい。
◇  ◇
協会は、薬価算定組織における価格決定過程を明らかにするために情報開示請求を行っており、それを含めて高額薬剤・材料費問題に対してしっかりと取り組んでいくこと。そして、各専門医会からの要望については、保団連要求や京都協会独自要求で、それぞれ適宜要望していくこと。また診療内容向上会の開催にあたっても、要望を受けて工夫していきたいと述べた。

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