園児に「教育勅語」を唱えさせているとニュースで聞いて驚いたが、同学校法人の新設予定の小学校で開校目前に土地取得、学校認可等に関わる疑惑が次々に浮上。国・大阪府の異例の動きに総理夫妻の名前まで上がり、証人喚問が行われた▼国会では稲田防衛大臣が自身の見解を問われ「教育勅語の精神である、日本が道義国家を目指すべきという核の部分は大切に維持している」と答えた▼教育勅語は1948年に衆議院で「排除」、参議院で「失効確認」が決議された。「根本的理念が主権在君ならびに神話的国体観に基づいている事実は、明らかに基本的人権を損う」、先に制定された「日本国憲法」「教育基本法」の精神に悖るものという全会一致の国会決議だった▼道義国家の核は、忠君愛国、儒教的道徳であり、教育の根本は皇祖皇宗の遺訓とされ、軍国日本の精神的主柱として全国民が洗脳された。「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ」の文言の下「天皇陛下万歳」と叫び、いかに多くの若者達が自ら死地に赴き、また人を殺したことか▼ここ数年「日本会議」特集の出版が続くが、今回の一連の動きは右傾化を進める流れの行き着いた帰結として見れば分かりやすい。ポツダム宣言を知らない首相、過去の国会決議に学ばない大臣、知性欠如の彼らに権力を握らせる怖さに改めて震撼する。（さ）