医界寸評  PDF

 妻と義母はある結社に入会している。結社と言っても秘密結社ではない。月に八首も作歌しなければならない短歌の結社である。月1回の例会で投票して批評をし合うのだそうだ。おまけに時々吟行まで、大変である。僕にはむかない。義母の頭の体操という名目で入会したが、締め切りに追われて、夜中に作歌していることもある。認知症予防になるかもしれないが、趣味の会でストレスになってもらっては困る▼つられて日曜朝6時からのNHK短歌を夫婦で批評しながら楽しんでいる。妻は「私だったらこうするわ」と言いきる。僕にはとても作れないと言いながら、こそっと数回NHKや他の雑誌にも投稿してみた。競馬のようなビギナーズラックはあるはずもなく、没ばかり。俳句に乗り換えようかなと思ったりもするが、そんなに甘くはない、同じことだろう。「懸命に短歌作って投稿もつるべ落としか選者のまぶた」裕▼短歌も俳句も「答えのない謎解き」、読み手に情景を想像させるような歌が良いと。医界寸評も体型も同様か、スリムにスリムに!?▼一昨年だろうか、協会主催の永田和宏先生の講演を聴いた。「手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が」「長生きして欲しいだれかれ数へつつつひにはあなたひとりを数ふ」河野裕子、僕は目を閉じた。(玲奈)

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