全国保険医団体連合会(保団連)は1月11日、参議院議員会館内で厚生労働省保険局医療課と懇談し、現行診療報酬の運用改善について要請した。厚労省からは天辰主査、島田係が参加、保団連からは11人が参加した。京都協会からは事務局が参加し、施設入居時等医学総合管理料、訪問診療料の算定要件の改善などを要請した。
懇談では、点数表の告示・通知に示されていない算定ルールや解釈について、疑義解釈の事務連絡や審査支払機関への口頭回答で済ます方法は現場を混乱させるため、告示・通知に明記して医療機関に周知するよう改善を求めた。
具体的には、16年度改定で新設された鼻腔・咽頭拭い液採取のように、改定実施より一定期間を経てから「1日につき1回」の点数であるとして事務連絡で算定制限を加えるような手法はやめるように要請した。
また、出席協会から、審査支払機関が「厚労省から口頭回答を得ている」ことを建前に、告示・通知に明記されていない減点を行っている事例を紹介。現場を混乱させるような対応を行わないよう要請した。
厚労省は「理解した」と回答するに止めた。
次に、施設入居時等医学総合管理料の算定について、16年改定で単一建物内の算定患者が月1人、2人〜9人、10人で点数が変わる形となった。一方、特別養護老人ホームの取り扱いでは、訪問診療料は末期の悪性腫瘍と診断した後に訪問診療を行い始めた日から60日以内の患者と、死亡日から遡って30日以内の患者は診療した人数にかかわらず1人の点数833点を算定する取り扱いとなっているが、施設総管の方は建物内の対象患者数により点数が異なる。特養において亡くなる患者が出ると、すでに請求したレセプトを取り下げ、再請求するが、亡くなる患者が複数になると、算定すべき施設総管の点数が変わり、再度請求をやり直す必要が生じる場合がある。真面目に対応する程、事務作業が煩雑になる一方で点数が下がるという矛盾が生じている。在医総管、施設総管については、複数の患者であろうと医学管理の必要性は変わらないので、全て1人の点数に統一すべきだが、緊急に不合理点を改善するため、京都協会から、少なくとも特養での施設総管の算定方法を訪問診療料の算定方法に合わせるよう求めた。
厚労省は「点数算定については財政の影響もあるので、改定時でない限り対応は難しい。また、算定ルールとしてどういう形が良いのかということもある」と回答した。京都協会は「財政影響はそれ程ないと思うので対応してほしい」と再度改善を訴えた。
連携阻む訪問診療料の算定要件改善を
保団連から、訪問診療料について、「1人の患者に対して、複数の医療機関が関わっている場合、一つの医療機関しか算定できない。この場合、他医療機関は往診料で算定することになるが、定期的な訪問となると、往診の算定要件に合致しなくなる。過去に大阪協会で実施したアンケートでは、不合理だという声が7割近くあり、泌尿器科、精神科、眼科、皮膚科では8割を越えた。複数科で連携している場合、これが障害になっている」と述べて改善を求めた。
厚労省は「基本的に訪問診療料を算定可能な医療機関は、現時点で行っている医療機関であると思っている。本日午前中、中医協で在宅医療を取り上げた。例えば他科の関与が必要だった場合や、高齢者が増える中で、医療提供のニーズが変わってきているとの話もあった。我々も検討が必要と思っている」と回答した。
その他、遠隔診療における薬剤の郵送の問題や、在宅療養指導管理料算定時の注射の手技料、処置料の算定、リハビリの目標設定等支援・管理料などについて意見交換した。次回改定に向けて中医協の議論が始まっており、こうした改善要請は、折を見て保団連社保・審査対策部会、診療報酬改善対策委員会で引き続き実施する予定。