京都府保険医協会が加盟する全国保険医団体連合会(保団連)は、9月21日、厚生労働省に対して、指導問題等に関する改善要請書を提出した。保団連からは宇佐美・田辺副会長、武田・新井社保・審査対策部長ら役員8人が出席。厚労省は医療指導監査室の植松・日巻室長補佐、熊瀬・高見・白岩医療指導監査官、坂井改定結果検証専門官の6人が出席した。京都協会からは保団連社保・審査対策部会小委員を務める事務局が出席し、京都の実情を踏まえ改善を要請した。
集団的個別指導の廃止求める
保団連の指導問題等に関する改善要請は、毎年1回、夏から秋にかけて実施されているが、今年は医療指導監査室から6人が出席、かつ1時間半をかけてじっくり要請できた。
まず、「高点数を選定基準とする集団的個別指導は廃止すること。個別指導の選定基準から『高点数医療機関等に該当するもの』を削除すること」を求めた。
これに対して厚労省は「厚労省、医療担当者、保険者も高点数イコール悪ではないと認識している。ただし、指導大綱上では現時点では高点数による選定を行うこととなっており、類型区分を現在の医療に見合った形で見直す方向で進めていきたい」と回答。
改めて京都協会より、類型区分の改善策として「眼科のK282水晶体再建術のレセプトは除外すること」「シナジス(パリビズマブ)の請求を含むレセプトを除外すること」を要請した。
これに対して厚労省は「高額薬剤を使用する治療や、高点数オペを専門に行う医師について点数が上昇することは事実だ。こうした事例以外にも該当するものがあるかもしれない。今後もそういう意見を頂戴できる機会をいただきたい」と回答があった。
新規個別指導後の再指導の見直し求める
次に、「新規個別指導について、最近、再指導とされる事例が増えているが、より教育的な指導や指定前講習会等を充実させ、再指導とはしないこと」を求めた。
これに対して厚労省は「新規個別指導の結果における再指導の割合が高い実情は、実際にはないと感じている。また、ただ指導対象となるレセプト件数の少ない個別指導として取り扱うことは、目指す趣旨とは異なる。再指導率が高く、非常に問題がある事例については個別に教えてほしい」と回答した。
改めて京都協会より、12年度の医科の新規個別指導で13%、13年度で15%、14年度で11%と高い割合で再指導に回されている実態を報告。「本当に再指導が適当なのか行政としても考慮してほしい」と訴えた。
集団的個別指導の日程について、京都協会より「京都では年間の日程が京都市と北部の2日しかない。京都市内の集団的個別指導に当たった先生が、指導予定日に手術予約が入っていた事例があった。
別日程を設定してほしいと申し出ると、京都事務所から『別日程は認められない』との返答に困惑して協会に相談があった。協会から、府北部の集団的個別指導に参加することで代替できないか相談してほしいと案内して事なきを得た。これでは患者の療養を受ける権利を阻害する危険性がある。集団的個別指導については複数日程を設定してほしい」と訴えた。
これに対して厚労省は「現に複数日程や複数会場を設定している厚生局もある。各厚生局の事情もあると思うが、すぐに改善できる対応としては、別会場、別日程を案内することだ。もしも説明が至っていないならば、大変申し訳なく思う。ご報告いただいたような事例が出ないように、当方から厚生局にお伝えできればと考える。皆様方も遠慮せずに、厚生局に要望としてお伝えいただければと思う」と回答した。
その他、都道府県個別指導の持参物や中断問題、監査や適時調査の改善、柔道整復の施術所にかかる指導徹底、柔道整復療養費の審査体制の充実など、要請内容は多岐に渡った。
なお、詳細な内容については『全国保険医新聞』10月25日号に掲載される予定なので参照されたい。