安井 俊雄(北丹)
健康への意識改革も重要課題
現在、京丹後市の人口は5万7287人。大宮町の人口は1万429人、65歳以上の高齢化率は28・64%とそれぞれ6町中3位と6位。京丹後市の人口は年間700から800人ペースで減少。生産年齢層が都会に流出する社会構造上の現象が見て取れる。
京丹後市には、四つの市中病院と診療所が21カ所。地域包括支援センター6、訪問看護ステーション5、介護施設36カ所。地域に隣接する医療機関として、豊岡病院、北部医療センターがある。医療介護資源ともに豊富であるが、京丹後市の中でも過疎化、高齢化が進んだ地域があり、いかに効率よく、医療供給するかが課題といえる。
2025年度までは、高齢者が微増するとも言われている。地場産業が衰退する中、経済的および医療介護供給においても、高齢者を生産年齢層が支えるのが、難しくなる傾向が見受けられる。医療は家族にとって一部であり、支え合う家族構成に配慮することが重要である。
大宮地区でも、祭り御輿を運行できなくなった地区もあるとか。今や、丹後縮緬の機織りは最盛期の4分の1に減ったと聞く。医療単独で判断はし難く、地場産業の活性化も同時に考えねばならない問題である。
10月末には山陰近畿道の京丹後大宮ICが開設され、よりスピィーディーにさらに利便性が増す。一方で、医療介護保険制度の骨組みは重要なはずだが、日本中でも地域格差がある。一律の制度改革で対応は不可能であろうし、診療所、病院、各施設共に、対応に追われることは、必須であろう。
健康に対する若者の意識も大切。学校医として、食事生活指導を行うと、学生の理解を得られることが多いが、実際、京都府全体と比較すると、アトピー、喘息、歯肉炎などの疾患罹患率は多く、改善の余地がある。
勤務労働者についても、自己健康管理について振り返る機会や時間がないのかもしれない。知識や認識が欠落しているケースも多々あるように思える。
学生年齢層から、健康への認識を高めることで、医療費のコストダウンを図れることを真剣に検討してはいかがであろうか。飲食不摂がこれらの疾患と深く関連していることは明白。生活習慣病もしかり。一元論では語れませんが。
筆者プロフィール
北丹医師会副会長、在宅、学校医担当、安井医院(内科)院長、網野町出身