堤下大亀 小山 誠次(下京区)  PDF

陽光五月鴨川辺
紅白交黄忽颯然
塗地大亀迷堤下
何非欲返運沂漣

堤下の大亀
陽光五月 鴨川の辺
紅白に黄を交えて 忽ち颯然たり
地に塗るる大亀 堤下に迷う
何ぞ返らんと欲するに非ざるや
沂漣に運ばん

(註)紅はアカツメクサ、白はシロツメクサ、黄はヒキヨモギ。沂は川の岸、漣はさざなみ

ぽかぽかと暖かい五月に、鴨川の辺を歩いていると、紅白の花に黄色を交えた河原にサッと気持ちのいい風が吹いてきた。見ると、土に塗れて泥だらけの大きな亀が堤防直下に迷い込んでいる。川に帰りたくても帰れないのであろうか。ならば、川岸の小さな波打った水辺まで運んであげよう。

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