6000人でバイバイ原発/小出裕章氏が即全廃を訴え  PDF

6000人でバイバイ原発

 東日本大震災、そして福島第一原発事故から丸1年を翌日に控えた3月10日、円山野外音楽堂にて脱原発を求めるイベントが開催された。参加者は目標を大きく上回る約6000人。協会の飯田哲夫理事も呼びかけ人に加わり、準備をすすめてきた。

 集会では、呼びかけ人の原強氏(「バイバイ原発9・11」よびかけ人)が、「大飯原発再稼働の動きが活発化しているが、絶対に許さないという決意を固めたい」と挨拶。小出裕章氏は「これだけの多くの方が原発を廃止しようと集まったことは、大変心強い。しかし、できることなら、1年前に時間を戻したい」と原発廃止に41年間向きあってきたからこその後悔の念を吐露。「これからは一人ひとりが個性を発揮し、原発を廃絶に追い込みたい」と訴えた。

 続いて、アイドルグループの制服向上委員会が「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」などを披露し、会場を沸かせた。締め括りは呼びかけ人の長谷川羽衣子氏(「バイバイ原発・京都」ネットワーク)が「原発のない社会を目指し、再生可能エネルギー中心の社会を実現することで、新しい未来を選択しよう」と決議を読みあげ、確認した。

 集会後は、四条通から京都市役所前へデモ行進し、通行人に「危ない原発は今すぐ止めよう」「琵琶湖の水をみんなで守ろう」「原発を止めても電気は足りる」などと訴えた。

 また、円山公園では、関連イベントが各種開催された。フリートークのコーナーでは、集会前に制服向上委員会のメンバーと小出氏が対談。中・高校生のメンバーから「一所懸命、歌で脱原発を訴えるが、まわりの友人は耳を貸してくれない。聞いてもらうにはどうしたらいいのか」「原発は危険だということがわかっていながら、なぜ再稼働をしようとするのか」など率直な質問に小出氏が答えるという一幕もあった。

「バイバイ原発3・10京都」で、円山音楽堂を埋め尽くした市民で原発即時廃止を訴える。

円山音楽堂を埋め尽くした市民で訴え

小出裕章氏が即全廃を訴え

 同日夜には、協会が主催し、小出裕章氏(京都大学原子炉実験所)の講演会「福島原発事故の真実〜事故がつきつけた原発の危険」を開催。定員いっぱいの約800人が参加し、ユーストリーム配信でも400人が視聴した。

 小出氏は、福島原発の現況について、圧力容器から溶け落ちた炉心は格納容器内にあるとの東電の主張はそれを確認するすべがないこと、4号機の使用済み燃料プールが崩壊する可能性などの危機的状況が続いており、政府の事故収束宣言は根拠がないと批判。

 大気中に放出されたセシウム137は広島原爆170発分との政府のIAEAへの報告に対し、世界各国の研究者はこの2〜3倍という評価をしている。おそらく海にも同じくらい流出。もし今までの日本の法律を適用するなら、膨大な地域を放射線管理区域にしなければならないほどの汚染を受けた。政府はそれらの法律を反故にし、何の責任もとらないまま、これからも原発を推進すると言っている。

 米国科学アカデミーの委員会による05年のBEIR−?報告で「被曝のリスクは低線量にいたるまで直線的に存在し続け、しきい値(これ以下は安全との値)はない」としており、これが現代の学問の到達点。それをどこまで受け入れられるかが問われている。

 居続ければ被曝による健康被害が避けられず、避難すれば多分生活が崩壊するという苦しみの中に福島の人たちはいる。この事態を許した大人として、私たちはどう生きるのか? 不幸にも起こってしまった事故から汲み取らねばならないのは原発を即刻全廃すべきこと。皆さんとともにやりとげたい、と力強く語った。詳細は後日掲載予定

シルクホールで講演する小出氏

シルクホールで講演する小出氏

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