56市町村「未実施のがん検診あり」/市区町村がん検診
健康増進法に基づく健康増進事業として市区町村が行っているがん検診で、5大がん(胃、子宮、肺、乳、大腸) 検診のうち、いずれか未実施の検診のある市区町村が全体の3.1%に当たる56市町村に上ることが、厚生労働省の調査で分かった。
調査は、2008年1月1日時点のがん検診の実施状況について、全国1822市区町村を対象に実施。全市区町村から回答を得た。
5大がん検診のいずれかを実施していない市区町村を検診の種類別に見ると、肺がんが51市町村と最も多く、乳がんの2市村、大腸がんの2村、胃がんの1町、子宮がんの1村と続いた。すべての検診を実施していない市区町村はなかったが、滋賀では24市町で肺がん検診を未実施。宮崎で9市町、群馬でも6市町村が肺がん検診を実施していなかった。肺がん検診を実施していない理由としては、「ほかに優先すべき事業がある」(19カ所)、「予算を確保できない」(12カ所)、「実施できる施設がない」(7カ所) などが挙がった。
がん検診は検診にかかる費用が一般財源化され、各市区町村が健康増進法に基づく健康増進事業として行うこととなっており、国は検査項目や対象者を指針として定めている。
しかし、今回の調査結果によると、国の指針通りに検診を実施していない市区町村は乳がんで特に多く221カ所に上ったほか、肺がんで139カ所、子宮がんで111カ所、胃がんと大腸がんでは40カ所。このうち対象者を絞り込んで実施している市区町村は、乳がん131カ所、子宮がん98カ所、胃がん84カ所、肺がん57カ所、大腸がん47カ所だった。絞り込みの方法(複数回答) は「定員を設けて先着順」「年齢を制限」などが多かった。
国の指針以外の方法で検診を行っている市区町村は全体の62.9%に当たる1146カ所。具体的な検診方法(複数回答) としては「前立腺がん検診(PSA検査)」(900カ所)、「乳がん検診(エコー検査)」(206カ所)、「胃がん検診(胃カメラ検査)」(53カ所)、「肺がん検診(ヘリカルCT検査)」(48カ所) などだった。
一方、検診の周知方法(複数回答) については、広報誌やホームページに掲載して周知したり、個別に郵送などで通知している市区町村が多かったが、個別に自宅などを訪問して通知している市区町村は105カ所にとどまった。(1/6MEDIFAXより)