42都道府県医が「病院医師が不足」/日医・医師確保調査
日本医師会の内田健夫常任理事は12月3日の定例会見で、全国の都道府県医師会と病院を対象に10月に実施した「医師確保のための実態調査」の集計結果を公表した。都道府県医師会調査では、47都道府県中42都道府県が「病院医師が不足している」と答えた。一方、病院に対する調査では、約2割の病院が医師不足を理由に外来を閉鎖・休止・縮小したと回答した。
都道府県医師会調査の有効回答数は47医師会(100%)。一方、病院調査は2008年度臨床研修プログラムに参加するすべての病院(2433施設)、一般病院(2分の1抽出、2880施設)、精神科病院(5分の1抽出、227施設) を対象とし、有効回答数は合わせて2668施設(48.2%) だった。
都道府県医師会調査では、とりわけ病院医師の不足が深刻だとの回答が目立ち、診療所が「不足・やや不足」していると回答した18都道府県すべてが、病院医師も「不足・やや不足」と回答。2次医療圏ごとに見ても、全国335のうち281の2次医療圏で病院医師が「不足・やや不足」(83.9%) していると回答した。
また、医師が不足している診療科を複数回答で聞いたところ、42都道府県が「産科・産婦人科」と「小児科」を挙げて最も多く、以下「救急医療」(40都道府県)、「麻酔科」(37都道府県) などが続いた。医師不足や偏在の対策に関する効果を聞いた問いに対しては、「小児救急電話相談事業(#8000)」「県境を越えた連携」「教育研修の実施」などが効果の高い対策として挙がった。特に「県境を越えた連携」や「医師派遣システムの構築」については「効果がかなり高い」との回答が多く、内田常任理事は「将来的に各都道府県に広がればよいと考える」とした。
一方、病院調査では、医師不足が原因で生じた問題として「外来の閉鎖・休止・縮小」を挙げたのが487施設(18.3%)、「病棟閉鎖・病床縮小」は253施設(9.5%)、「夜間等の救急対応休止」が189施設(7.1%) だった。それぞれの問題がどの診療科で発生しているのかを聞いたところ、すべての問題で内科がトップ。産科・産婦人科は「病棟閉鎖・縮小」で、小児科は「夜間等の救急対応休止」で多かった。
また、医師が「不足・やや不足」していると考える病院長は71.5%。診療科別では「救急医療」が83.8%、「産科・産婦人科」72.1%、「内科」68.7%、「麻酔科」66.9%などの順だった。(12/4MEDIFAXより)