4疾病5事業「数値目標に重み付けを」/厚労省委託の調査研究事業
厚生労働省は、報告書「各都道府県の新たな医療計画にかかる調査研究」を公表した。医療計画の数値目標の設定について「都道府県によりばらつきがある」と分析。実績が良くない疾病・事業に対し、重点的に数値目標を設定するなど「数値目標の重み付け」が必要と指摘している。
研究は2008年度「医療施設経営安定化推進事業」の一環で、厚労省医政局が日本経済研究所に委託してまとめた。4疾病5事業の実績値(パフォーマンス)と、数値目標などで評価する指標の採用率を踏まえ、各都道府県の医療計画の現状を分析。併せて、医療計画の検討プロセスや策定後の広報体制について、5自治体へのヒアリング調査と、各都道府県を対象としたアンケート調査を実施した。
実績値と指標の採用率に基づく現状分析では、都道府県の医療計画を(1)4疾病5事業の実績値が低いために数値目標を設定し、着実な実施を図っている(2)実績値が低いにもかかわらず、数値目標など定量化できる指標を導入していない─など9パターンに分類。実績値と指標の採用率がともに高く、特に数値目標の設定方針なども明確な自治体として千葉、新潟、熊本などを挙げた。その上で「都道府県によって今後取るべき対応が異なる」と指摘し、分類を今後の計画策定に反映させるよう提案している。
一方、各都道府県を対象としたアンケート調査結果によると、97.8%の自治体が医療計画策定のために新たに行った調査として「医療機能調査(医療資源調査)」を提示。4疾病5事業と同時に重点的に取り組むべき事業としては「在宅医療(終末期医療を含む)」(37.0%)が最も多く、「精神疾患」(21.7%)、「難病」(15.2%)の順だった。報告書は、医療の需給両面での幅広い調査を実施するために「計画策定のガイドラインを遅くとも1年前には提示すべき」と指摘。4疾病5事業以外の疾病・事業についても医療計画に反映すべきとしている。(6/23MEDIFAXより)