2016年度改定で厚労省と交渉 医療現場の実態に即した改善を
全国保険医団体連合会(保団連)は8月6日、厚生労働省に対して、2016年度診療報酬改定に向けた改善要請を実施した。要請には保団連から住江会長、武田診療報酬改善対策委員長、中島同委員会担当理事、森社保・審査対策部担当理事が参加し、同省内で行った。また、京都府保険医協会から診療報酬改善対策委員会小委員を務める事務局1人が参加した。厚労省からは保険局医療課の田村課長補佐が対応した。
同一建物居住者の扱い マンション等は除外すべき
保団連は、同一日に複数の同一建物居住者に在宅患者訪問診療料、在宅時医学総合管理料等を算定した場合の大幅減額の取扱いについて、マンションやアパートは除外することを求めている。
これに対して厚労省は、「建物に関する評価方法をいきなりなくすのは難しいが、非常に非効率な状況になっており、受け入れる施設側・診療側の不満が大きいことは承知している。団地、アパート、マンションに居住する患者と異なり、有料老人ホーム等の施設の複数の患者については、施設側で管理していることもあり、全く一緒ではないと思う」との認識を示した。
一方、厚労省は患者の状態像に応じた評価の導入について、「中医協では患者の状態に合わせた段階を作る方向で議論されている」と述べた。建物の評価に加えて患者の重症度に応じた評価が検討されており、点数がより複雑になることが懸念される。
内服薬7種類以上の減算 「多剤への風当たりが強い」
保団連は、内服薬を7種類以上投薬した場合の減額規定の廃止を求めている。交渉に参加した京都協会事務局からも次回改定での改善を強く訴えた。これに対して厚労省は、「国会でも多剤投与に対する批判を受けており、そのまま緩和するのは難しい状況だ」との認識を示した。ただし、前回改定で地域包括診療料・診療加算を導入したことに触れ、「(届け出ている)服薬管理を行う主治医は、規制から除外するという方法をとっている。したがって、地域包括診療料等をどうしていくかではないか」との認識を示した。
在宅自己注射指導管理料 専門科ごとに算定を求める
在宅自己注射指導管理料について、保団連は「同一患者に対して、同一月に診療科の異なる自己注射の指導管理をそれぞれ実施し、在宅自己注射指導管理料を算定できるようにすること」を求めている。
これについては、京都協会事務局からも重ねて強く改善を要請。問題点について十分に理解を得たものの、厚労省側から明確な回答、意見は出されなかった。
その他、「入院中の他医療機関の受診」に係る減算の廃止、市販類似薬等の保険給付外しの撤回、医療保険による維持期リハビリテーションの評価の継続、有床診療所の入院料の引き上げ等を求め、医療現場の実態に即した改善を強く要求した。
最後に、京都協会がいち早く取り組み、全国的な活動に広がった「退院後1カ月以内の特定疾患療養管理料の算定制限の撤廃」に関して、改めて要請することを伝えて終了した。