2015年度 地区懇アンケート「新専門医制度について」結果  PDF

2015年度 地区懇アンケート「新専門医制度について」結果

半数以上が診療報酬での差別化に反対

 協会は2015年11月から16年5月にかけて、会員対象に「新専門医制度」についてアンケートを実施。17年度開始に向けて準備されてきた新制度は、昨年末頃から地域医療への影響を懸念する声が強まり、延期も含めた議論がされている。このアンケートはその大きな動きをはさんだ期間に実施。本紙では早くから問題点の指摘を繰り返してきたためか、回答の傾向は昨年9月に同じ質問で代議員対象に行った結果(2946号)と大きな差異が見られなかった。対象は2366人(地区懇談会の開催に合わせて送付)、回収数は477(回収率20%)。

「新専門医制度」実質義務化の認知度は56%

 新専門医制度のもとでは、「医師は基本領域のいずれかの専門医を取得することを基本とする」こととされる。これが15年春の卒業生から実質義務化されることについて認知度は、56%であった。(図1)

診療報酬や適正配置—差別化を危惧

 新専門医制度のもとでの専門医と、そうでない医師が併存していくことになるが、何らかのかたちで差別化を図ろうとする懸念が拭えない。診療報酬での評価や「適正配置」が行われるとしたら、どう考えるか。「反対」が診療報酬は55%、適正配置は46%。「いたしかたなし」が診療報酬31%、適正配置は36%。「賛成」は診療報酬で9%、適正配置で11%。適正配置よりも診療報酬の方に拒否感が強くでている。(図2・3)

総合診療専門医への期待度は

 予定通り行われるとすれば、20年度から新制度下での専門医認定が始まり、その数年後には新専門医の地域での開業、数十年後にはほとんどすべての医師が置き換わることになる。現在の開業医とは違う研修を受けた医師(総合診療専門医)が地域をみることについて、どう考えるか。総合診療専門医が地域をみることについて、「今の開業医の良さを継承してほしい」が45%となったが、「期待する」も24%ある。「不安を感じる」は21%だった。(図4)

専門医保持者の約8割が更新

 現行の専門医資格については、19年度までに随時新制度に更新していくことになるが、更新あるいは新たに取得することを考ているか。現行の専門医資格は約6割が保持、そのうち約8割が更新。更新しない人の理由は「年齢」が多い。新たに取得も3%あった。(図5)

 自由意見では、「先進諸国に比して我が国の専門医制度は遅れている。一般開業医も日進月歩の医療技術を取得する努力を常にすべき」と新制度を肯定的にとらえる意見もあるが、「専門性も総合性もともに賛成だが医師身分差別には断固反対です」「任意団体の私的制度が公的保険の運用の条件になることが納得できません」「地域格差の解消を本当に行政がやる気があるのか。下手をすると第二の医療崩壊招く」「大学医局の影響力が増して関連病院が固定してしまう恐れが大きい」「制度を突然国主導として行うことの奇異さに驚くとともに、全ての医師が専門医であることなどありえないのに、ともかくシステムを組み立てようとすることの愚かさに驚く。国の方針に反対の表明として更新しない」など批判的な意見が多くあった。

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