2012診療報酬・改定こうみる2
急性期病床の選別と病床による役割区分明確化の促進
有床診も例外なく、入院料算定に管理栄養士配置が要件に
入院
副理事長 鈴木 卓
今次改定は2025年に向けた改革の端緒とされており、入院医療再編の流れの中で今後の自院の機能やポジショニングを考えて捉える必要がある。
高度急性期病棟を目指した項目では、一般7対1入院基本料の平均在院日数・看護必要度をテコにした再編が開始された。要件未達には経過措置が認められているが基本的には10対1への誘導と思われ、今後超急性期(5対1?)、7対1、10対1への選別化が加速されるであろう。高度急性期病院には救急受入や高度医療内容評価のほか、様々な手厚い報酬を付けるとともに、急性期病院からの退院促進の諸策も盛り込まれた。救急搬送患者地域連携紹介加算・受入加算では、救急病院から7日以内の転院が療養病棟にまで拡大、増点された。特にNICUに入院している重症児の受け入れ側には、体制整備や投資が必要となろうが、少なくとも2025年まではハシゴが外されることはないと思われる。
重点医療課題の評価は13の新設入院基本料等加算でも示されている。10対1では看護必要度加算が新設された。これは今後加算→必須要件化へ導く常套手段である。13対1から療養までの各病棟では、急性期病院からの受け皿の他に、直接の救急患者受け入れの加算(救急・在宅等支援病床初期加算)が付いた。また13対1、15対1では、今後退院促進を恒常化させるか、さもなくば療養病棟(並み)になるかの二者択一が迫られた。このような在宅への流れは、他にも全ての入院病棟に対して、早期在宅療養に向けた退院調整加算、地域連携計画加算、退院時共同指導料2等で、適応拡大や増点が付けられた。
DPC病院については、基礎係数の設定に医療機関群が導入され、2018年調整係数の全移行に向けた再編・淘汰の第一歩が始まった。回復期リハ病棟、亜急性期入院の差別化も始まった。
全入院共通の改定点として、栄養管理体制が入院料算定の基準に追加された。これまで配置していなかった入院医療機関では、2年の経過措置のうちに、常勤(有床診では非常勤で可)の管理栄養士配置が義務付けられた。
また、入院基本料等加算の多くの算定要件に、原則屋内全面禁煙が加わった。さらに金曜入院・月曜退院、午前退院の多い場合が減算要件とされる(10月1日実施)。
入院患者の他医療機関受診問題は、極一部改善されたに留まり極めて不十分である。