2010診療報酬改定こうみる(2)/入院
急性期に重点、長期の入院さらに厳しく
急性期に重点、長期の入院さらに厳しく
副理事長 鈴木 卓
今回の改定は急性期・入院初期に重点を置く半面、長期入院に関する点数が引き下げられ、入院継続が困難に追い込まれる内容となっている。
(1)一般病棟入院基本料の多くが据え置かれ、急性期入院加算が引き上げられた。
(2)一般病棟看護必要度評価加算(10対1)、急性期看護補助体制加算(7対1または10対1)が新設。また救急搬送患者地域連携紹介加算や同受入加算、急性期病棟等退院調整加算などが再編され、救急入院受け入れと受け入れた患者の早期退院を誘導する設定がなされている。退院調整についての評価は介護保険サービス対象者にまで拡大された。
(3)準7対1入院基本料は廃止され、代わって7対1及び10対1特別入院基本料を新設。看護職員の平均夜勤時間72時間以下が満たせない場合に算定され、元の約8割の基本料金となっている。
(4)栄養サポートチーム加算・呼吸ケアチーム加算等々の新設、医師事務作業補助体制加算等の引き上げなど、医療実践の評価項目が設定されたが、施設・人員要件があり、大規模病院に有利な中身となっている。
(5)他方、一般入院基本料の15対1が引き下げられた。一般病棟等における90日超入院患者に特定入院基本料を算定する取り扱いが、後期高齢者から全年齢層に拡大され、長期入院の採算割れが広範囲に適応される設定となった。
(6)精神病棟入院基本料に13対1が新設された。そして10対1と13対1の施設基準には重症者の受け入れ比率が要件とされる。また10対1特別入院基本料が新設。更に入院基本料の期間による加算が30日以内で引上げ、91日以上で引き下げとなった。
(7)結核病棟入院基本料において、特別入院基本料への移行が拡大され、平均在院日数の要件が外された。入院基本料等加算の取り扱いが変更された。障害者施設等入院基本料は据え置かれたが、重症児(者)受入連携加算が新設された。
(8)療養病棟入院基本料が大きく二分され、医療区分2・3の患者比率80%以上等が要件とされる(1)とそれ以外の(2)に再編され、(2)では8/9の点数区分で引き下げとなった。救急・在宅等支援療養病床初期加算が新設された。
(9)有床診療所入院基本料が3区分に変更され、初期加算(7日以内)が新設された。急性期病棟等退院調整加算等が新設。また療養病床では病院と同様、救急・在宅等支援療養病床初期加算が新設され、在宅医療の後方支援先としての位置付けが明確となった。
(10)特定入院では、回復期リハビリテーション病棟入院料の引き上げ、休日提供加算、充実加算が新設された。その他の特定入院料でも点数の引き上げや要件緩和がある半面、精神療養病棟入院料が引き下げ、認知症治療病棟入院料(名称変更)も61日以上で引き下げとなっている。
(11)これまで規定の曖昧であった、入院患者の他医療機関受診に関する取り扱いが全入院形態に対応して決められたが、行われた診療内容によっては、その日の入院料が7割カットされるなど不明朗なものである。