14年度入院料改定で有床診懇談会開く
「スプリンクラー設置義務化」で話題提供も
協会は5月29日、有床診療所会員を対象に「有床診療所懇談会」を開催。14人が出席した。今回のテーマは「有床診療所の入院料、何が変わって、何が変わっていないか」で、有床診療所の現況を踏まえつつ、14年度診療報酬改定について、特に有床診療所の入院料に焦点を当て、改定点と運用・管理に当たって注意すべき点、入院料改定全体に占める有床診療所点数の位置付け等について解説した。
有床診療所に関する改定のポイントは大きく分けて三つ。(1)地域包括ケアシステムにおける機能を担うことを入院料で評価(2)看護補助配置加算の新設(3)管理栄養士配置義務の撤廃と栄養管理実施加算の再設定—とした上で、(1)については、地域包括ケア要件は、届出をして終わりではなく、「過去1年間」との記述がある要件については、日時の経過とともに、要件対象となる「過去1年間」も動くこととなるので、常に管理が必要であること。(2)については、病院の場合と異なり、看護補助業務を行っている者(療養病床除く)であれば、事務との兼務であっても「1人」として数えることができること。(3)については、栄養管理実施加算が、管理栄養士配置をした上で、栄養管理計画を策定する等、患者ごとの栄養管理を行って初めて算定できる点数であること—等の注意点を紹介した。
また有床診療所について、管理栄養士配置の義務は撤廃されたが、栄養管理体制等、入院料算定の前提となる五つの対策については、引き続き求められており注意が必要なこと。さらに14年度の入院料改定では、新設された療養病棟の在宅復帰機能強化加算等、在宅復帰率等の要件が多く作られ、有床診療所入院基本料の一般病床初期加算のように、これまでの受け入れを促進するという視点でのみ患者の流れを作るのではなく、患者を送り出す側にもテコ入れが行われたことが大きな特徴であるが、有床診療所は在宅復帰率等の計算対象となる受け入れ先に今回入れられておらず、まだ大きな患者の流れに乗りきれていない—等と解説した。
さらに、スプリンクラー設置義務化に向けた総務省消防庁「有床診療所・病院火災対策検討部会」の状況を話題提供した。議論の方向性を注視する必要があることを伝えるとともに、設置義務を検討している省庁と、補助金の交付を行う省庁とが必ずしも同じではないため、複数の角度から情報収集が必要なこと。設置に当たっては、補助金額を見越した必要以上の見積もりを出す業者もいるとのことで、業者選定も重要であること—等を情報提供した。出席者からは、有床診療所はスプリンクラー設置義務とする方向で議論が進んでおり、標榜科等によっては義務化の対象から除外されるようだが、具体的にどのような場合に除外されるのかといったところに関心が集まっていた。