12年度医療費、伸び率は1.7%増に鈍化/0.6兆円増の38.4兆円
厚生労働省は9月10日、2012年度の医療保険と公費負担分の医療費を集計した速報値を公表した。総額は前年度比0.6兆円増の38.4兆円で、最高額を10年連続で更新したが、伸び率は前年度の3.1%増から1.7%増に鈍化した。医療費の伸び率は09年度から3年連続で3%台が続いていた。
毎年公表している医療費の速報値は、労災分や全額自費分などを含まない概算医療費で、費用全体の推計値である「国民医療費」の約98%に相当する。
医療費の伸びは全体的に鈍化しており、70歳未満の医療費は19兆円で伸び率は0.6%増(前年度は1.8%増)。70歳以上の医療費は17兆4000億円で伸び率は2.8%増(同4.4%増)だった。
70歳以上人口の増加で高齢者の医療費全体は増加傾向にあるが、70歳以上の1人当たり医療費は前年度比1000円減の80万4000円で、伸び率はマイナス0.2%だった。
●受診延べ日数は減少
医療費の単価として見ることができる「1日当たり医療費」は、前年度比400円増の1万4800円で伸び率は2.6%増。1日当たり医療費の伸び率は3年連続で低下傾向を示している。1年間の患者数として見ることができる「受診延べ日数」は、前年度比0.9%減の26.0億日だった。
●1人当たり医療費、北海道と西日本が高い傾向
厚労省は、11年度の1人当たり医療費の地域差を「市町村国保」と「後期高齢者医療制度」ごとに分析した結果も公表した。「入院」「入院外+調剤」「歯科」を合わせた「診療種別計」が全国平均と比べて最も高かったのは、市町村国保では佐賀県(1.184倍)、後期高齢者医療制度では福岡県(1.246倍)だった。一方、最も低かったのは、市町村国保では茨城県(0.888倍)、後期高齢者医療制度では岩手県(0.808倍)だった。全国的には市町村国保、後期高齢者医療制度ともに北海道と西日本が高い傾向を示した。(9/11MEDIFAXより)