1000年は地球温暖化が進行/CO2の排出止めても
地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の排出をゼロにしても、その後の1000年間は温暖化が進行するとの予測を、米海洋大気局(NOAA) などの国際チームが1月29日までに、米科学アカデミー紀要に発表した。
排出されたCO2の一部は大気中に数千年単位で残留することと、いったん温まった海水の温度は下がりにくいことが理由という。チームは「CO2の削減費用が下がってから削減すべきだとの主張があるが、大気への蓄積濃度が高くなるほど、その後に排出を止めても温暖化の悪影響が大きくなる」と指摘している。
チームは、大気中のCO2濃度がそれぞれ450、550、 650ppm (ppmは百万分率)などになった後に排出ゼロにするシナリオで、西暦3000年の濃度、気温、降雨量、海面上昇などを推計。
その結果、CO2の排出量が増え始めた産業革命の前の濃度には、いずれのシナリオでも戻らないほか、地中海沿岸や米南西部などで乾燥化が進行、海水面も上昇し続けると予測された。
CO2濃度は現在約385ppmで、毎年約2ppmずつ増加している。
研究は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC) の報告書を作成した米国の著名な大気化学者スーザン・ソロモン博士がまとめた。【ワシントン1月29日共同】