10年度診療報酬改定をテーマに コミュニケーション委員会開く
明細書義務化と地域医療貢献加算で意見交換
協会は3月20日、2010年度診療報酬改定をテーマに、第2回コミュニケーション委員会を開催。地区から15人、理事5人が出席した。司会は岡田代議員会議長・茨木副議長。関理事長の挨拶、診療報酬改定に係る情報提供の後、意見交換を行った。意見交換では電子請求の医療機関に義務化された明細書の発行や、新設の地域医療貢献加算に集中した。
まず、今回の改定が診療所から病院への財源移転に留まったことにふれ、「診療所(悪)VS病院(善)という構造が作り上げられている」との声があった。これに対し協会から、開業医と勤務医の分断には反対の立場であることを示した上で、「勤務医に対して具体的に処遇改善するためには、ホスピタルフィーとドクターフィーを区別することも必要」との認識を示した。
地域医療貢献加算に関しては、「患者と築いてきた信頼関係が崩れるのではないか」「コンビニ受診が増える可能性もある」と戸惑いながら、届出するかどうか様子見をしている状況が窺えた。小児科を標榜する委員や在宅医療に携わる委員は、「従来からの患者には常に連絡がとれる態勢を整えているが、不特定多数からの連絡となれば届出は慎重にならざるをえない」と述べ、また他の委員からは時間外対応に関して、「(患者からの)感謝と(医者の)満足感から(患者の)権利と(医者の)義務への変容である」と感想を述べた。点数設定について産婦人科の委員からは、「一つのミスが命取りとなる緊迫した状態で24時間の対応に追われている。3点の加算はほとんど意味をなさない」と発言した。
明細書の発行については、「希望者のみの発行にすべき」との意見が大多数であった。2年前から明細書発行が努力義務とされたものの、院内掲示をしている委員によれば希望した患者は一人もいない。また、腫瘍マーカーを測定すれば、告知しなくても病名が類推されるケースも考えられ、「トラブルの元になりかねず、診療がやりにくくなるだろう」との意見も出された。
協会からは、健康保険法で療養の給付と費用の支払いは保険者の責任と示されており、各医療機関は一部負担金の徴収を行うのが規則であることを説明。厚生労働省に明細書発行の義務化を撤回し、希望者のみの発行とすることを訴えていくとした。
最後に、茨木副議長は「様々な医療改革により、患者と医師との信頼関係は崩れようとしている。民主党を中心とした政権は医療崩壊を食い止めるとしているが、現状として医療は窮地に立たされている。きちんと現状を把握し、政策に生かしていただきたい」と挨拶し、閉会した。