08年の医療事故報告は1440件/「療養上の世話」が最多、評価機構
日本医療機能評価機構の医療事故防止事業部が8月25日に発表した「2008年の医療事故情報収集等事業の年報」によると、報告が義務化された医療機関から08年1年間に受けた医療事故の件数は1440件で、前年より174件増えた。事故の内容は「療養上の世話」が最も多く、「治療・処置」「医療用具等」が続いた。医療事故の報告件数が増加したことについて、同機構は「医療機関が報告する文化をもっと定着させる必要がある。件数が増えるのは正常な姿」としている。
厚生労働省は04年10月から特定機能病院などに医療事故の報告を義務付け、同機構が登録分析機関として事故等分析事業を行っている。08年は報告が義務付けられた医療機関272施設のうち204施設から報告があった。1440件の医療事故報告の内容を見ると、「療養上の世話」(584件)が全体の40.6%を占め、次いで「治療・処置」が360件、ドレーン・チューブ類など「医療用具等」が140件だった。事故を起こした当事者の職種は、看護師(47.4%)と医師(42.6%)が全体の9割を占めた。
事故の程度については、全体の40.7%が「障害残存の可能性がある」事例だった。死亡事例は115件で前年(142件)より27件減少し、調査開始以来最も少なかった。
一方、ヒヤリ・ハット事例を見ると、昨年1年間の有効報告数は22万3981件だった。当事者の職種(複数回答)は看護師(18万4543件)が最多で、不明(3万8097件)、医師(9934件)、薬剤師(6278件)が続いた。ヒヤリ・ハットが発生した場面は「処方・与薬」21.0%、「ドレーン・チューブ類の使用・管理」14.3%などだった。(8/26MEDIFAXより)