TPP交渉に日本が正式参加 国民に情報は開示されず!!  PDF

TPP交渉に日本が正式参加 国民に情報は開示されず!!

 日本は7月23日から3日間、マレーシアで開かれていたTPP(環太平洋経済連携協定)の第18回交渉会合に初参加。日本の交渉団はそこで初めてこれまでの交渉内容を記した1000ページもの協定案に接したとされる。政府担当者は「秘密保持契約」を結んだことを盾に交渉内容については明かさず、国民に情報が開示されない問題が明確となった。

 協会はこれまでTPP参加に一貫して反対の立場で取り組んできており、TPP政府対策本部のパブコメ募集にも、7月17日に以下の反対意見を提出した。

交渉参加に断固反対 「TPP政府対策本部」への意見

 私たちは、TPP参加が国民皆保険制度に深刻な打撃を与えるのみならず、我が国の主権にも関わる問題であるという認識から参加すべきでないと考え、交渉から撤退することを訴える。

 医療分野では、薬価決定プロセスに米国製薬企業を加えるよう要求されているとの報道がすでにされている。これにより、医薬品や医療機器の価格規制の撤廃・緩和が求められてくるのは明らかだ。現状でも高薬価が問題とされているが、新薬の価格が高騰することになれば、患者負担の増加や医療保険財政の圧迫による診療報酬本体の圧縮につながる。また混合診療の解禁や営利病院の参入、民間医療保険の販売規制を取り払っての販売拡大が要求されるとみられる。利益最優先で医療や食の安全など国民の健康に対する脅威ともなる。

 医療を市場原理に委ねるアメリカ型のルールの押し付けにより、「いつでも、どこでも、だれでも」安心して医療が受けられる国民皆保険制度が破壊され、経済的格差が、命や健康の格差に直結してしまう。私たち医療に携わる者にとって、このことは断じて許すことができない。

 医療における規制は、医療を受ける国民の健康、生命を守るために存在する。そうした国内法や規制がISD条項(投資家・国家紛争解決)により改変を迫られる。韓国ではISDによる損害賠償請求を恐れて、韓米FTA発効にあわせて63もの法律や施行令、公示などが改正された。私たちが1年前に韓国医療視察を行った際に「憲法をも超える制度」だと現地の医師たちが懸念したとおりの現実がある。一部の多国籍企業の利益のために一国の健康政策が左右されるようなことがあってはならない。まさにこれは主権にかかわる問題であり、日本という国のあり方の問題である。私たちは、TPP参加に断固反対である。

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