TPPなど医療の規制緩和を憂慮 /下京東部医師会と懇談  PDF

TPPなど医療の規制緩和を憂慮
/下京東部医師会と懇談

12月11日 ホテル日航プリンセス京都

 協会は12月11日、下京東部医師会との懇談会を開催。地区から14人、協会から6人が出席した。懇談会は下京東部医師会の佐々木敏之副会長の司会で進行し、中西重雄会長のあいさつがあった。協会からは各部会からの話題提供に加えて「次回診療報酬改定の方向性」「社会保障制度改革、TPP、消費増税、70〜74歳2割負担化等の動向と影響」「医療版事故調」でプレゼンテーションし、意見交換を行った。

 意見交換では、TPPに関連して「日本のTPP参加によって、アジアにおける日本の立場が、欧州におけるドイツと同じ立場(一人勝ちによる悪者扱い)になるのではないかと考えるがどうか」との意見が出された。それに対し協会は「TPPへの参加により、日本が一人勝ちすることはない。一部の多国籍企業が潤うだけ。交渉の主導権は米国が握っており、むしろ悪者になるのは米国と考える」とした。

 またフリーアクセスについて「最近ではむしろそれによる弊害が出ており、かかりつけ医を資格化し、制限を加えることも必要ではないか」との意見が出されたが、協会からは「フリーアクセスは患者にとって有益であり、(受診先を選べることから)医療の質の向上にも役立った。フリーアクセスの制限を『緩やかなゲートキーパー機能』を備えた『かかりつけ医』をキーマンに実施することで、医師配置を国の管理下に置くことにつながり、これまでフリーアクセスとともに日本の医療を支えてきた自由開業制をも否定しかねない。フリーアクセスを制限せずとも地域における機能分担を行うことで効率的に医療が提供でき、すでにできつつある」と、フリーアクセスの制限は不要との見解を示した。

 さらに一般用医薬品インターネット販売についての見解を尋ねられ、「経済活性化を目論んでの解禁であるが、効果は見込めないだろう。むしろ薬剤の副作用等が心配であり、事故が起きた際の責任の所在も不明である。安全性担保のために一定の規制は必要と考える」と説明した。

 出席者からは「TPP交渉において『医療』は対象に挙がっていないが、『金融』や『知的財産』の分野で関係し、国民皆保険制度を崩壊させかねない。そのようなことにならないよう協会にも引き続き取り組んでいただきたい」など、協会に対する期待が込められた発言もあり、協会の今後の活動に活かすことのできる意義ある懇談会となった。

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