DPCで地域医療の格差拡大/日医が独自に経営分析
日本医師会は7月23日の定例会見で、独自に行ったDPC対象病院・準備病院の経営分析結果を公表した。中川俊男常任理事は分析結果に基づき、DPC病院とそのほかの病院で地域医療の新たな格差を生みだしているとの危機感を表明。DPCの拡大で早期退院の患者が増加しても、受け皿となる医療機関の維持が困難となり、患者に切れ目のない医療を提供することができなくなると警告した。
日医は都道府県・市町村立の公立病院と国立病院機構の病院を対象に、情報公開法で開示が義務付けられている財務諸表からDPC対象病院・準備病院の経営分析を試みた。一般病床の比率が高いDPC以外の病院を比較対象とした。
経営分析結果によると、DPC対象病院はもともと短い平均在院日数をさらに短縮。また、DPCへの「手挙げ」の時期が遅いほど、平均在院日数が長くなる傾向が示された。
入院収入を見ると、公立病院では2006年度対象病院の03年度時点での100床当たりの入院収入は12.5億円で、DPC以外の一般病床80%以上の病院と比較して1.6倍だったが、06年度対象病院が実際にDPC対象となった06年度には12.7億円となり、DPC以外の病院との格差は1.8倍に広がった。
医師数については、DPC病院で増加し、DPC以外の病院では減少した。06年度対象病院では、03年度の15.9人から06年度には17.0人まで増えている。看護職員数も医師と同様の傾向を示した。
中川常任理事は「当初DPCに手を挙げた病院はもともと在院日数が短く、収入も多く、患者単価も高いなど優位な位置にありながら、さらに調整係数による安定的な収入を財源に医師と看護師を増加させた」と指摘。その結果、DPC病院には財源のほか医師、看護師が集中することになり、そのほかの病院との格差はさらに拡大するとした。また、「最近では在院日数が比較的長い病院も手を挙げるようになったものの、先行したDPC病院並みの在院日数に到達することは困難。今後は調整係数もなくなるため、これまでのメリットは享受できない」との見方を示した。(7/24MEDIFAXより)