CT診断で死因特定3割/千葉大、解剖と比較調査
司法解剖しなくても遺体のCT (コンピューター断層撮影装置) 画像と、警察の捜査結果をあわせて診断すれば、3割の遺体について死因を特定できるとする研究結果を、千葉大大学院の岩瀬博太郎教授(法医学) が9月20日までにまとめた。
調査した遺体は400体に上り、交通事故などで致命傷を負った遺体については8割以上、死因を特定でき、解剖に迫る好結果が出た。大規模災害など死者が多数出ると司法解剖が間に合わないケースが多く、CT利用の効果が期待できそうだ。
調査は2006年1月から08年5月にかけて実施。警察から司法解剖を依頼され、岩瀬教授の法医学教室に運び込まれた事件、事故の被害者437体をCTスキャンして画像を解析、死因を判断した後、解剖を行い比較した。
まず、腐敗が進んだり白骨化して解剖しても死因を判断できないケースや、死亡状況が明らかな交通事故死の遺体計95体を除外。残り342体を比較したところ、28.9%に当たる99体で、CT解析と警察の検視による結果が、解剖所見と一致した。交通事故などで致命傷を負った31体に限ると、CT画像では83.9%の26体で死因を特定。あるケースでは、頭蓋骨に大きくひびが入って死亡したことが、画像から一目で分かった。
岩瀬教授は「白黒のCT画像では出血の有無が分からず、他殺体を病死と勘違いしてしまうこともある。CTはあくまで解剖の補助的な役割を果たしており、残りの7割をどう扱うかが問題。警察の捜査結果と医学的診断を総合して死因を究明する制度づくりが急務だ」と話している。【共同】(9/24MEDIFAXより)