B型肝炎訴訟で和解案受け入れ/政府、必要財源は3.2兆円
政府は1月28日、集団予防接種をめぐるB型肝炎訴訟で、1月11日に札幌地裁が示した和解案を受け入れると表明した。原告側はすでに和解案受け入れを決めている。細川律夫厚生労働相は、和解が合意に至れば患者らに謝罪する考えを示した。また、長期間にわたって国の不作為があったとして、被害が拡大した背景について検証する意向を語った。
今後の最大の焦点は、患者救済のための財源確保。政府は今回の原告以外の患者も救済する方針で、1948年から88年までの集団予防接種で7歳までにB型肝炎ウイルスに感染した患者を対象に、発症者に最大3600万円、無症候性キャリアに50万円を給付するなどの対応策を示している。厚生労働省は、現在の発症者が3万3000人、無症候性キャリアが40万人程度とみており、必要な財源は今後30年間で約3兆2000億円と試算する。
ただ、発症後20年以上の慢性肝炎患者や2次感染者は対象に入っておらず、政府と原告側は協議を続ける。野田佳彦財務相は1月28日の会見で「救済のフレームをつくる際には当然ながら財源確保が必要」と述べたが、財源捻出の具体策は白紙とした。(1/31MEDIFAXより)