80億円超で病院の統合再編/再生基金、50億円超は病床削減
厚生労働省医政局は、政府が2010年度補正予算で積み増した2100億円の地域医療再生基金について、50億円を超える交付については病床削減の実施を、80億円を超える場合は病院の統合再編を実施するなどの交付要件を決め、都道府県に局長通知を発出した。10年度補正予算での基金交付は、3次医療圏での医療提供体制の再生を目的としており、高度・専門医療機関や救命救急センターなど3次医療圏での広域的な医療提供体制の整備拡充を図る。厚労省は今回の交付で、地域医療の再生と同時に、病床削減や病院の統合再編を含めた機能分化を進める狙いだ。
通知は1月28日付。15億円の基準額を交付申請する場合は▽民間医療機関や医師会、関係団体など官民問わずに医療関係者の意見を聞いて計画に反映する▽高度・専門医療機関などと役割分担・連携する「連携医療機関」を3次医療圏内で適正数指定し、切れ目ない医療提供体制を構築する▽地域連携クリティカルパスの活用促進・関係院長会議の設置▽施設整備・設備整備に偏らずに医師などの確保・人材育成への活用―などを要件とした。感染症対策の体制整備についても留意事項として示した。
●15億円超で医師負担軽減措置が要件
15億円を超える交付を申請するには、整備対象となる医療機関に医師事務作業補助員の導入などの医師負担軽減措置を実施することや、3次医療圏の医療状況を定量的に評価するための、情報インフラを整備することなどが要件になる。
●施設整備2億円以上で5−10%の病床削減
交付申請額が50億円を越える場合、施設整備に2億円以上の基金を投じる医療機関については医療機関全体で10%以上の病床削減を実施することを原則とした。ただし、その医療機関が、病床数が過剰でない2次医療圏にある場合には、病床削減規模は5%以上とした。地域内での合計削減病床数の配分は、都道府県が関係者と調整し判断することとした。
●交付上限は120億円
さらに、申請額80億円を超える場合については、病院の統合再編を条件とした。交付額の上限は120億円。
都道府県は13年度末までの地域医療再生計画について必要書類を作成し5月16日までに医政局に提出する。交付金で基金を拡充し、計画した施策を実施する。(2/4MEDIFAXより)