7カ所診療断られ妊婦死亡/緊急対応指定の都立病院
体調不良を訴えた東京都内の妊婦(36) が都立墨東病院(墨田区) など7カ所の医療機関に診療を断られた後、最終的に救急搬送された墨東病院で赤ちゃんを出産後、脳内出血の手術を受け、3日後に死亡していたことが10月22日、分かった。赤ちゃんは無事だった。
墨東病院は、緊急対応を必要とする妊婦や新生児を受け入れる都が指定した医療機関。当直に当たる産科医師の1人が退職し、妊婦が搬送された10月4日の土曜日は研修医1人が当直していた。都は、指定医療機関としての態勢に不備がなかったか経緯を詳しく調べる。
都によると、妊婦は吐き気などを訴え、江東区のかかりつけの産婦人科医院を訪れた。医院は緊急な措置が必要と判断し、墨東病院への搬送を手配。しかし、墨東病院は産科の当直医が1人しかいなかったため対応できず、いったん断った。
妊婦の診療がほかの6カ所の医療機関にも断られたため、医院が再度依頼し、約1時間後に墨東病院が受け入れを決めた。墨東病院は医師1人を呼び出して対応。妊婦は、帝王切開で赤ちゃんを出産後、脳外科で脳内出血の手術を受けた。
墨東病院の産科医師は、7月からは常勤3人、研修医3人で当直に当たった。平日の当直は2人だったが、週末は1人で、妊婦が搬送された当日の当直は30代の研修医1人だった。
重大なケースになると、別の医師を呼び出していたという。
都は「限られた人材で精いっぱい対応した。痛ましいことで救えなかったのは残念」と話している。墨東病院は、救急患者の診察や緊急手術、救命措置などに当たる「東京ER」を開設。産科は直接は対象外だが、石原慎太郎都知事は「あってはならないことで残念。経緯を調査したい」と話した。
2007年8月には、買い物中に腹痛を訴えた奈良県の妊婦の搬送先がなかなか決まらず、10カ所目に打診した大阪府の病院に運び込まれたが、死産となった。【共同】(10/23MEDIFAXより)