4疾病5事業に「精神」追加を提案/社保審・医療部会で日精協
厚生労働省の社会保障審議会・医療部会(部会長=齋藤英彦・名古屋セントラル病院長)が12月22日開かれ、山崎學委員(日本精神科病院協会長)が、現在4疾病5事業となっている都道府県の医療連携体制について、2013年度から都道府県が実施する新しい医療計画は「精神疾患」を加えた5疾病5事業とするよう提案した。山崎委員の提案に反対意見はなかった。
山崎委員は、医療機関にかかっている患者数を傷病別に見た場合、「精神および行動の障害」は、4疾患に位置付けられている糖尿病、がん、脳卒中、急性心筋梗塞(虚血性心疾患)よりも多いとして「国民病といえる状況」と強調した。
厚労省の患者調査によると、1996年に218万人だった精神疾患の患者数は、08年には323万人(外来290万人、入院33万人)と1.5倍に増えている。山崎委員は、統合失調症のほかに高齢者の認知症や勤労者の鬱病が増えているとし「新たな対策が急務だ」と説明。自殺者数が98年以降、12年連続で3万人を超えていることも問題だとした。
また、重い生活障害を長期間もたらす疾患を重点疾病とするよう世界保健機関(WHO)が推奨している点や、英国では、がん・心疾患と並んで精神疾患を3大疾患としている点にも触れ、日本でも精神疾患患者への医療提供体制を安定的に確保するには連携強化が必要と強調した。
4疾病5事業のうち、「疾病」は省令で、「事業」は医療法で定めており、「5疾病5事業」とするには法改正の必要はない。(12/24MEDIFAXより)