3ワクチンの定期接種化で意見書/厚労省・予防接種部会  PDF

3ワクチンの定期接種化で意見書/厚労省・予防接種部会

 厚生科学審議会・感染症分科会予防接種部会(部会長=加藤達夫・国立成育医療研究センター総長)は10月6日、細川律夫厚生労働相に対して、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(Hib)、小児用肺炎球菌、HPVの各ワクチンについて、予防接種法での定期接種に位置付けるよう求める意見書を10月6日付でまとめた。

 部会では、予防接種法の改正をにらみながら、公的予防接種の対象となる疾患やワクチンの在り方について検討しており、前回の会合で、部会として予算編成に向けた意見を提出する方向を固めていた。ワクチン評価小委員会で現時点での各種ワクチンに関する科学的評価を進め、3ワクチンについては世界保健機関(WHO)が全地域に接種を勧告していることや、他の先進国で実施されながら国内では未実施となっていることから、定期接種化に向けて早急に検討を進めるよう意見をまとめた。

 加藤部会長は、菅首相が2010年度補正予算編成の中で、国民生活の安定・安心に向けた経済対策を優先する考えを示していることから、「国民や市町村から多くの要望があるHib、小児用肺炎球菌のワクチンについて、HPVワクチンと同様に公的接種化への道筋につながる取り組みが重要」と説明。水痘やおたふくかぜ、B型肝炎などの疾病・ワクチンについても検討を進める必要があると強調した。

 外山千也健康局長はこれに対し、緊縮財政の中で大きく展開するには、政府の経済対策の流れを見据えた対応が重要だと述べるとともに「意見書の中身が経済対策とイコールではないが、部会から背中を押してもらわないと戦えない状況」として、重く受け止めて真摯に対応すると表明した。意見書は事務局を通じて細川厚労相に提出する。

 会合では、部会で検討対象となる疾病・ワクチンについて引き続き議論した。現行の努力義務の有無で区分されている1類疾病・2類疾病の類型については、どちらかに一本化すべきとの意見に加え、「現行のまま残す」「個人の価値観を考慮すべき」などと、依然意見が分かれており、再度、検討することになった。

 予防接種事業での国・地方自治体の役割分担や、健康被害への対応についての議論では、ワクチン行政の基盤となる副反応などのデータが不足しているとの指摘があり、サーベイランス体制の整備を求める意見が出た。

●日本脳炎、16年度から2期接種も積極的勧奨を

 また、部会では「日本脳炎に関する小委員会」でまとまった第3次中間報告を了承した。日本脳炎については10年度から3歳の1期接種を積極的勧奨として再開したが、中間報告では、11年度以降は4歳児への1期追加接種の積極的勧奨を実施することに加え、9歳で実施する2期接種についても、16年度に9歳になる児童から順次、通常の時期に積極的勧奨とすることなどを盛り込んだ。(10/7MEDIFAXより)

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