24時間型、サービス提供の整理が不可欠/介護給付費分科会
4月27日の社会保障審議会・介護給付費分科会では、2012年度から新サービスとして創設する24時間対応型の「定期巡回・随時対応型訪問介護看護サービス」についても各委員から意見が相次いだ。
●高齢者専用住宅と自宅は別物
24時間型サービスの提供体制については、池田省三委員(龍谷大教授)が「(高齢者住まい法などに基づく)高齢者住宅向けに提供する場合と、(地域に点在する)自宅を巡回する場合を分けて考えられるよう整理すべき」と指摘。三上裕司委員(日本医師会常任理事)も「高齢者住宅を整備して提供するサービスは、形態として“施設”ではないか。在宅とは全く別物として取り扱わないと、さまざまなモラルハザードが起こるのでは」と懸念を表明した。
●24時間型スタートで全職種連携の本格化を
多職種連携によるサービス提供については、馬袋秀男委員(民間介護事業推進委員会代表委員)が「(24時間型サービスの開始が)在宅ケア、ケアマネジメントを一体的にチームでみることのスタートになる」と述べた。山田和彦委員(全国老人保健施設協会長)は「将来的には老健が“総合在宅支援センター”のような位置付けで在宅サービスをバックアップするような役割を担いたい」と話し、サービス提供についてはサービスをバラバラに提供するのではなく、リハビリテーションなども含めた複合型が重要との考えを述べた。
これに対し池田委員は、24時間対応型のサービスは施設だけが中心ではなく、訪問介護と訪問看護の複合型に通所サービスをかみ合わせる必要などがあると説明した。
医療と介護の連携に関する観点では、武久洋三委員(日本慢性期医療協会長)が「在宅支援診療所や在宅支援病院など、医療が外へ出ていくという観点で、チーム連携の形をつくっていかなければならない」と話し、大島伸一分科会長代理(国立長寿医療研究センター総長)は「診療所、歯科、病院、看護、薬剤師も全国組織があり、在宅を支える医療系の全国組織化は進んで連携が始まっている。あとは介護との連携が課題」と指摘した。
木村隆次委員(日本薬剤師会常任理事、日本介護支援専門員協会長)は24時間型に関して、「具体的にどういうケアマネジメントが必要なのかを検討するための調査などを開始する」と話した。
●「実験的なスタート」
今後、給付費分科会で議論する人員配置や報酬、サービス提供体制など具体的な内容についての方向性に関しては、田中滋委員(慶応大大学院教授)が「12年度は完成形でなく、実験的でもいいという認識でいるべき。さまざまな基準も、動かせないようなガチガチなものにしてはいけない。評価も中期的に行うべきだ」とした。(4/28MEDIFAXより)