2025年へ診療報酬「将来の課題」/厚労省  PDF

2025年へ診療報酬「将来の課題」/厚労省

 社会保障審議会・医療保険部会は10月26日、2012年度診療報酬改定の基本方針策定に向けて、これまでの検討状況を箇条書きで文案化した資料「12年度診療報酬改定の基本的認識、視点、方向等(案)」を提示した。資料は▽基本的認識▽重点課題▽改定の視点▽具体的な方向性▽将来に向けた課題―の5部構成。特に「将来に向けた課題」は厚生労働省が今回初めて作成したもので、一体改革成案で描いた25年の医療提供体制実現に向け、中医協が中長期的な観点で取り組むべき課題を整理している。

●人員配置からアウトカム中心の評価へ
 鈴木康裕医療課長は「将来の課題」で留意すべきポイントとして▽医療計画や補助金、保険者の取り組みと相乗効果をもたらせる診療報酬の在り方を検討▽人員配置中心の評価から、結果・アウトカム中心の評価にシフト▽新規医療技術では開発インセンティブを確保しつつ、費用対効果を勘案した評価方法を検討する―の3点を挙げた。

 意見交換では「厚労省がまとめた文章では具体的なイメージをつかみづらい」という意見が多数上がった。樋口恵子委員(NPO法人高齢社会をよくする女性の会理事長)は、地域包括ケアの理念に対して「患者目線で、退院から在宅医療、死に至るまで、どういった医療関係者に関わっていけばよいかが分かりづらい。簡単な図表で示してほしい」と要望した。

 小林剛委員(全国健康保険協会理事長)は、一般病棟に長期入院しても一定条件に当てはまれば特定入院基本料への減額を免れる特定除外患者を「効率化のテーマに入れるべき」と主張。すかさず鈴木邦彦委員(日本医師会常任理事)は「特定除外を大きな問題にするのは考えてほしい」と指摘した。山下一平委員(日本商工会議所社会保障専門委員)は「効率化の基本姿勢を忘れずに。保険料が上がらないよう調整してほしい」と要請した。

 紙屋克子委員(静岡県立大大学院看護学研究科教授)は看護師の負担軽減について言及し「2交代制では夜勤前に4時間程度しか休憩できない。事故が起きない方が不思議だ。安全・安心のためにも“ちょっと贅沢な人員体制”が必要だと書き込んでほしい」と要望した。また、紙屋委員が「医療クラークを配置し、医療関係者が医療に専念できる体制を整えてほしい」と要望すると、高原晶委員(諫早医師会長)は「書類が煩雑で、整理をお願いしたい。そうすれば医療クラークは必要ないかもしれない」と述べた。

 柴田雅人委員(国保中央会理事長)は自殺対策を盛り込むよう求めた。(10/27MEDIFAXより)

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