2次救急病院数の格差は7.82倍/日医総研WP
日医総研はこのほど、全国348の2次医療圏の地域格差についてデータ分析し、ワーキングペーパー(WP)としてまとめた。医師数などについて上位35医療圏(上位10%)の平均値と下位35医療圏(下位10%)の平均値の格差は、医療施設従事医師数で3.41倍、病院従事医師数で4.86倍、2次救急対応病院数では7.82倍に及ぶことが分かった。
人口1000人当たり医療施設従事医師数は、全国平均で1.85人だった。東京の区中央部(11.78人)や区西部(4.78人)など上位35医療圏の平均値は3.56人で、愛知の尾張中部(0.72人)や茨城の常陸太田・ひたちなか(0.84人)など下位35医療圏の平均値1.04人と比較すると、格差は3.41倍となった。
病院従事医師数では、人口1000人当たり病院医師数の全国平均が1.16人だった。東京の区中央部(8.88人)、区西部(3.28人)、福岡の久留米(3.13人)などで多かった一方、愛知の尾張中部(0.19人)、東京の島しょ(0.25人)、埼玉の児玉(0.39人)などでは少なく、上位35医療圏と下位35医療圏の平均値の格差は4.86倍だった。
2次救急対応の病院数を見ると、人口10万人当たり平均施設数は2.98病院で、最も多い北海道の南檜山では14.19病院だったが、▽気仙(岩手)▽奥越(福井)▽甲賀(滋賀)▽隠岐(島根)▽五島(長崎)▽上益城(熊本)─の6医療圏では2次救急対応の病院がなく、上位と下位の格差は7.82倍に達し
た。
●分娩実施病院の格差は約590倍
また、15歳以上45歳未満女性1万人当たり分娩実施病院の全国平均は0.68病院だった。長崎の壱岐(4.70病院)や対馬(3.96病院)など上位35医療圏の平均は1.985病院、しかし34医療圏で分娩実施病院が存在せず、下位35医療圏の平均は0.003病院となり、格差は約590倍となった。帝王切開の実施病院についても、44医療圏で実施病院が存在せず、2次医療圏間で分娩施設数に大きな格差があることが分かった。
今回の分析は▽医療施設従事医師数▽病院従事医師数▽病院の救急対応▽病院の提供医療サービス─などの項目について▽医師・歯科医師・薬剤師調査(厚労省)▽医療施設調査(厚労省)▽病院報告(厚労省)▽住民基本台帳に基づく人口・人口動態及び世帯数(総務省)▽全国都道府県市区町村別面積調(国土地理院)─の5つのデータを使用して分析した。(7/21MEDIFAXより)