2次救急で提言、民間病院の役割重視を/日医総研WP
日医総研はこのほど、都市部にある民間2次救急病院の院長らを対象に行ったインタビュー調査の結果をワーキングペーパー(WP)にまとめた。救急医療の需要の多くを民間が担っているにもかかわらず、財政や税制などで支援を受ける「官」の病院と不公平な競争を強いられていると指摘するなど、民間2次救急病院を取り巻く課題を分析。民間病院の役割を重視するよう提言した。
政治的な解決が必要な課題として、「2次救急の主な担い手は、民間(非営利)の中小病院であることが一般に知られておらず、政策的支援が不十分」などの意見が上がった。行政運営の工夫・見直しを必要とする課題では、「国公立・公的・大学病院等の大規模医療機関と民間非営利の中小規模の医療機関との棲み分けがなされていない」「地域の2次救急医療について、官民が協働し、話し合う場がない」などの指摘があった。
病院の経営戦略や採算性の課題については、「人件費が負担となり、採算が合わない」「2次救急への補助金の絶対額が不足している」など、経営状況の厳しさを訴える声が上がった。救急医療の運営上の課題では、「医師・看護師の確保が難しい」「自分の専門以外は診ない・診ることができない医師が増加している」などの意見があった。
考察では民間重視の方向性を強調し、課題解決に向けて▽正しい現状認識と「民間救急病院」の役割の再定義▽官官・官民・民民のそれぞれの連携強化と地域ごとの適切な実態把握▽救急病院経営に対する政策的支援▽患者啓発と医師の育成―の4項目を挙げた。
調査対象は、東京11病院、大阪5病院、福岡2病院の計18病院。このうち、2次救急の指定ありが10病院、指定なしが8病院だった。2次救急から撤退した理由を探るため、過去5年以内に2次救急を行っていた病院も調査対象に含めた。(7/17MEDIFAXより)