2ワクチンの接種再開/事業実施要領を改正  PDF

2ワクチンの接種再開/事業実施要領を改正

 小児用肺炎球菌ワクチンとHibワクチンを含むワクチン同時接種後に乳幼児が死亡した事例が複数報告され、2ワクチンの接種を一時見合わせていた問題で、厚生労働省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会と子宮頸がん等ワクチン予防接種後副反応検討会は3月24日に合同会議を開き、死亡例とワクチン接種について「いずれも直接的な明確な因果関係は認められない」とする意見を取りまとめた。

 前回3月8日の合同会議以降、さらに、死亡例が2例増え、死亡例は合計7例となった。7つの死亡例について、厚労省は専門家に死亡とワクチン接種の因果関係の評価を依頼。いずれも明確な因果関係は認められないとの評価だった。

 厚労省が日本医師会と日本小児科学会に協力を依頼して行った調査では、小児用肺炎球菌ワクチンとHibワクチンが何らかのワクチンと同時接種されているケースは全体の75%以上を占めていた。また、市販後調査や臨床試験、鹿児島大での調査などで、同時接種による重篤な副反応の発現は増加していないことなどを踏まえ、同会議は「同時接種における副反応の発現率は単独接種に比べて高い傾向があるとする報告もあるが、重篤な副反応の増加は認められていないとして特に安全性上の懸念は認められない」との見解で一致した。

 同会議の取りまとめでは、2ワクチンの同時接種に安全性上の懸念はないとしたが、慎重を期すために、接種に当たっては、単独接種が可能であることを示した上で、同時接種を行う際は「必要性を医師が判断し、保護者の同意を得て実施する」こととした。

 厚労省は議論の中で、重篤な基礎疾患のある乳幼児に対する接種では「単独接種を基本としつつ、同時接種が必要な場合は医師の判断で実施する」ことを提案。しかし、委員からは「重篤な基礎疾患のある乳幼児は接種可能な期間が限られる。単独接種を基本とする、と書き込んだのでは現場で同時接種を行えなくなってしまう」と危惧する意見が相次ぎ、取りまとめでは「単独接種も考慮しつつ同時接種が必要な場合には、医師の判断で実施する」で合意した。

 その後、4月1日から接種が再開。厚生労働省は4月1日付で「ワクチン接種緊急促進事業実施要領」を一部改正し、2ワクチンの接種見合わせやHPVワクチンの供給不足などで、スケジュール通りに接種を受けられなかった対象者に適切に受けてもらえるよう対応する。

 HPVワクチンに関しては▽事業に基づき2010年度に1回目(2回目)の接種を受けている場合、発熱などにより接種が適当でないとされた場合▽10年度対象者でワクチン供給不足により10年度に1回目の接種を受けることができなかった場合(11年度9月30日までに1回目の接種を行う人に限る)―については11年度に17歳(高校2年生相当)となっても接種が受けられるとした。

 また、同時接種に関しては「それぞれ別の日に単独で接種することができる旨の説明を予め行う」こととし、重篤な基礎疾患を持つ人に対する同時接種は「単独接種も考慮しつつ、被接種者の状態を確認して慎重に行うこと」とした。さらに、今回の接種見合わせや供給不足などで接種間隔から遅れた場合は、接種ができるようになった時点で速やかに接種することとした。(3/25、4/1MEDIFAXより)

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