12年度厚労省予算案、一般会計26兆6873億円/実質4.3%増
厚生労働省の2012年度予算案が12月24日の閣議で決まった。厚労省予算案は一般会計で26兆6873億円(対前年度比7.9%減)。ただ、この中には東日本大震災復興特別会計や年金交付国債などの諸費用、子ども手当の見直しによる減額分が計上されていないため、これらを合わせた実質的な予算案は前年度に比べて1兆2064億円増(4.3%増)となる。「日本再生重点化措置」の厚労省配分額は、1059億円の要求に対して220億円が認められた。ライフ・イノベーションの推進費用などが柱。
社会保障関係費の予算案は26兆2152億円で8.1%減。医療費は自然増が認められたため、10兆2442億円(3.2%増)に増える。介護は2兆3392億円(6.1%増)、年金は8兆1037億円(22.0%減)、福祉等は5兆3079億円(7.6%減)、雇用は2202億円(13.5%減)。
医療費の国庫負担予定額を保険制度別に見ると、協会けんぽ1兆1822億円(714億円増)、国保3兆2435億円(1267億円減)、後期高齢者医療4兆1900億円(2721億円増)、公費負担医療1兆5805億円(1051億円増)となる。
●高額療養費の見直し、12年度実施難しく
焦点となっていた高額療養費制度の見直しは、12年度からの実施が難しくなってきた。保険局は実施時期について「引き続き検討」としているが、12年度の本予算案では財源を確保していない。政府内では「4月1日から高額療養費制度を見直すのは到底無理。制度がその後も続くことを考えれば、補正予算での計上も難しい」との声が聞かれる。
東日本大震災の被災者に対する医療保険一部負担金の免除措置は、2月末に期限切れを迎えた後の延長分として98億円を計上。同様に介護保険でも44億円を盛り込んだ。対象者は福島第一原発周辺の「警戒区域等の住民」とされている。その他の地域が延長の対象になるかどうか、保険局は「引き続き検討することになる」とした。
●介護2号保険料への総報酬割、12年度は見送り
介護報酬の財源として検討してきた介護2号保険料への総報酬割は、12年度からの導入を見送った。
●栄養目的ビタミン剤の保険外し拡大
新たな薬剤費の適正化策も行う。後発医薬品の使用が進まないため実施する薬価の「追加引き下げ」は、長期収載品のほかに後発医薬品でも実施する。提言型政策仕分けの判定結果を踏まえて市販品類似薬の見直しも行う。現在、ビタミンBとCは、単なる栄養補給のための投薬を保険給付対象から外している。この対象範囲をビタミンAやEといったその他の脂溶性ビタミンまで広げ、薬剤費の抑制を図る。また、生活保護受給者には後発医薬品の服用を勧める。(12/26MEDIFAXより)